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2020.03.19

イベント

ユニークな自動倉庫や柔軟に使える搬送ロボット【その3】/国際物流総合展

2月に東京都江東区の東京ビッグサイトで「国際物流総合展2020」が開かれた。225社・団体が出展し、各社が自動倉庫やソーター(仕分け機)などの物流機器を展示した。「その2」で取り上げた他にも無人搬送車(AGV)やその技術を応用した製品を展示する企業は多く、従来の物流機器よりも柔軟に運用できるとアピールした。

ピッキングカートに計量機能を持たせる

自律的に移動する寺岡精工のピッキングカート

 「その2」で取り上げた他にも、特徴的なAGVを展示した企業は多い。

 寺岡精工(東京都大田区、山本宏輔社長)は、自律走行式のピッキングカートを参考出展した。作業者が棚から商品を集めるピッキング作業を支援する。
 作業者の所にあるカートのコンテナが一杯になるのを見計らって、次のカートが空のコンテナを運んでくる。コンテナが一杯になるとカートは自動で出庫エリアに向かう。移動経路を指示する必要はなく、どの経路が最適かカート自身が判断して走行する。

従来から販売する手押し型の計量機能付きピッキングカート

 計量機器メーカーとして創業した企業で、1934年の設立以来、流通小売、食品製造、物流、外食などの分野に計量から発展させたソリューションを展開する。物流分野では、貨物のサイズと重量を自動ではかる自動計量計測器などを製造販売する。この技術を生かし、ピッキングカートにも計量機能を搭載する。

 「計量機能付き手押しカートは従来から販売しており、出荷時の検品レスで省力化を実現してきた。各商品の重量を登録しておけば自動で数量をチェックでき、バーコードスキャンによる照合と併せればピッキング精度が限りなく100%に近づく。この従来モデルに自律走行機能を付けることで、現場に合わせたさまざまな提案が可能になる」と製品担当者は語る。

AGV技術を仕分けに応用

ローラーコンベヤーなどに荷物を投入する機能もある

 AGVは品物の搬送に使われるが、同様の技術を使って仕分けを提案する企業もあった。
 フランスに本拠地を置くフィブグループのフィブイントラロジスティクス(神戸市中央区、松本孝裕社長)は、自律走行型の仕分けシステム「GENI-Ant(ジェニアント)」を国内初披露した。
 AGVの天板部分に横向きにベルトコンベヤーを付けたような製品で、荷物を載せたまま仕分け先ごとに決まった場所まで自律的に移動する。ベルトコンベヤーが付いているため、仕分け先ごとに設けられたローラーコンベヤーなどに横付けして直接荷物を投入できる。

導入台数次第で仕分け能力を自在に調整できる

 「大手物流企業なら1時間当たり5000個の荷物を仕分けられる大規模な固定設備を導入すればよいが、そこまでの量がない、1日5000個の仕分け作業でも自動化したいとのニーズが高まっている。ジェニアントなら導入台数次第で仕分け能力を調整でき、将来扱う個数が増えた場合には台数を増やせる。この柔軟性が評価され、来場者の反応はとても良い」と藤丸見浄取締役兼営業統括部長は話す。

――その4に続く
(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)

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