[注目製品PickUp!vol.27]熟練工の力加減をロボがまねる【後編】/新東工業「ZYXer」
足りないのは経験だけ
鋳造装置を製造する新東工業は、会社を支える新たな柱として新規プロジェクトを立ち上げた。その一つが、2018年に本格始動したロボット用の力覚センサーのプロジェクトだった。
当初は、今後さらなる市場の拡大が予想されるロボット本体を開発する案もあったが、参入のハードルが高く断念。代わりに、ロボットシステムの重要な要素になるセンサーに注目した。
「センサーは、日本の企業がこれから生き残るためには欠かせない製品」と田名網グループマネージャー。そこで、人間の触覚、力加減をロボットに付与できる力覚センサーにたどり着いた。人の感覚をロボットに持たせるセンサーには視覚センサーもあるが、扱ったことのない光学系の技術が必要なことと、力覚センサーなら装置製造のノウハウも生かせるなど理由で、力覚センサーを選んだという。
ロボットに求められる作業レベルが向上し、力覚センサーへの期待も高まっているという。「安いだけでは売れない時代に入った。ジクサーが注目されるのは、ワンランク上の性能をロボットユーザーが求めている証拠」と田名網グループマネージャーは説明する。
ジクサーは、普及品の静電容量式のセンサーと比べ性能が高く、また同じひずみゲージ式のセンサーと比べても性能が高いという。作業前の準備として稼働させる暖機運転の時間は、他社製品が120分必要だったのに対してジクサーは30分だった。
「ロボット用力覚センサーの業界ではうちは新参者だが、製品の性能には自信がある。自分たちに足りないのは経験だけ」と力強い。現状はロボットとハンドの間に取り付けるタイプだが、さらに改良を加え、将来的にはロボット内部やハンドの中に入れられるような製品も考える。