製造業の専門展でロボットシステムに脚光
コンパクトな双腕ロボット
「ものづくりワールド」は製造業の専門展で年に3回、東名阪でそれぞれ開かれる。
今回の名古屋ものづくりワールドは「第7回名古屋機械要素技術展」など7つの専門展で構成され、4月13日~15日の会期3日間で延べ1万8381人が来場した。
機械要素部品やロボットシステム、3Dプリンター、CAD/CAM(コンピューター支援設計・製造)ソフトウエアが一堂に展示された。
中でも、脚光を浴びたのがロボットシステムの展示だった。
機械要素部品メーカーのTHKは、カワダロボティクス(東京都台東区、川田忠裕社長)の双腕ロボットの新製品「NEXTAGE Fillie(ネクステージ・フィリー)」を出展した。従来の双腕ロボット「NEXTAGE(ネクステージ)」と比べてコンパクトで、低コストで導入できるのが特徴だ。会場では2本のロボットアームを器用に使い、アルコール除菌液のスプレーキャップを搬送するデモを披露した。担当者は「軽量で、それなりに量がある樹脂部品などを搬送するのに役立つ」と話す。
また、家電卸売の廣瀬無線電機(東京都千代田区、廣瀬美智俊社長)が開発した自律移動型の除菌ロボット「Mover(ムーバー) UV-C」も展示。THK製の自律移動型の走行台車「SEED-Mover(シード・ムーバー)」と、シグニファイ製の紫外線照射ユニット「フィリップスUV-C除菌トロリー」で構成されており、フードコートや製造現場の社員食堂などの除菌に活用できる。
ティーチングレスで金型磨く
ロボット関連製品などを取り扱うA&Tロボティクス(川崎市川崎区、山門広也社長)は、「DOBOT(ドゥーボット)」ブランドで知られる中国のShenzhen Yuejiang Technology(深圳市越疆科技)の協働ロボットを3台出展した。
中でも注目を集めたのは、中国のMech-Mind(メックマインド)の3次元(D)ビジョンセンサーを活用したケーブルのピッキングシステム。箱の中に乱雑に置かれたケーブルの位置やつかむポイントを正確に認識し、協働ロボットが搬送する一連のデモを披露して来場者の関心を引いた。
ケーブルのような軟らかい物はたわんだり、ねじれたりと位置や姿勢が常に変わるため、一般的な3Dビジョンセンサーでは認識するのが非常に難しい。これに対し、メックマインドの3Dビジョンセンサーは独自の人工知能(AI)技術を搭載しており、ケーブルの形状を学習することで位置やつかむポイントを正確に認識できる。
大同特殊鋼グループの大同マシナリー(名古屋市港区、川西邦仁社長)は「ティーチングレスロボットシステム」を紹介した。対象物の3Dモデルデータを基に、「CAM」と呼ばれるソフトを使ってロボットの動作プログラムを自動生成するシステムで、ティーチング(動作を覚えさせること)の手間や負担を大幅に軽減できる。
CAMとは、設計データを基に工作機械の加工プログラムを作成するソフト。金属加工の現場で広く使われる。
会場では複数の金型の磨き加工を自動化するデモを披露した。加工対象の金型が変わっても、3Dモデルデータを取得するための3DスキャナーとCAMソフトがあれば簡単にロボットの動作プログラムを作成できる点をアピールした。担当者は「金型以外の業界にもこの技術を応用できないか模索している。そのため、今回は市場調査を目的に出展した」と話す。
(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)