エプソンやシナノケンシと相互教育で連携/信州大学
信州大学工学部は、セイコーエプソンやシナノケンシ(長野県上田市、金子元昭社長)との相互教育連携を強化する。5月25日には長野市の長野キャンパスで共同記者会見を開き、連携の概要や今後の取り組みを報道陣に説明した。
相互教育連携とは、大学の教員が企業の技術者に仕事で必要なスキルなどを再教育したり、企業の技術者が大学に出向いて学生に講義したりする仕組みのことだ。同大学は相互教育連携の一環で、今年度から講義科目「先端産業論」を新設。セイコーエプソンやシナノケンシの経営者や技術者らが講師として登壇し、それぞれ計8回の講義を工学部の学生に実施する。
同大学工学部長の天野良彦教授(=写真中央)は「最近は大学と企業の人材交流が減りつつあるが、相互教育連携を通じて交流を図れれば、学生や技術者の育成に加え、地域の活性化にもつながる」と期待を寄せる。
シナノケンシは6月4日~7月28日まで、先端産業論の「ASPINA(アスピナ=シナノケンシの企業ブランド)特別講義」を担当する。講師は自身の体験を織り交ぜながら、事業戦略や技術戦略、製品の活用事例などを学生に教える。金子行宏常務(=同右)は「社会や企業を動かすのは一人一人の人間であり、その基本となるのが教育だと考えている。今回の講義を通じ、学生の未来に役立つような内容になれば」と語る。
セイコーエプソンは、10月以降に開催される先端産業論の「エプソン工学」を担う。インクジェットプリンターや産業用ロボットといった同社製品の技術者らが教壇に立ち、数学や物理、化学などの基礎工学が技術開発や製品開発のベースになっていることを学生に紹介する。技術開発本部副本部長の細野聡執行役員(=同左)は「従来の共同研究開発に加えて人材育成の分野でも信州大学と連携し、社会課題を解決する技術や人材の両方を共創したい」と語る。
(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)