[SIerを訪ねてvol.28]多品種少量の溶接現場にも、効果的な自動化を/三葉電熔社(1/3)
溶接工がいなくなる
「ロボ=省人化」じゃない
ただ、そのような現状でも、自動化は進んでいない。
中小企業では、多品種少量の対象物(ワーク)を溶接する案件が多い。ロボットを使うと、ワークの形状や溶接条件により都度調節が要る。もしくは、高額なビジョンシステムなどを付けてワークに応じた溶接をさせる方法もあるが、システムは高額となる。そういった要因があり、職人の手作業に頼る現場がまだまだ多い。
尾崎社長は「中小向けの提案で大事なのは、ロボット導入の目的をはっきりさせること。完全に自動化して人を減らすのではなく、会社の継続には効果的な自動化が必要と納得してもらう」と話す。
具体的には、繰り返し作業になる直線の溶接などをロボットが、曲線部分や複雑な箇所など付加価値の高い作業を職人が担当するなどの提案している。
多品種少量の溶接の中でも定期的に製作するワークを見比べると、共通の動きで対応できる溶接個所は少なくない。「例えば、100個ぐらいの溶接パターンがある中、5つの動きで売上高の6割を占める会社は珍しくない。ならば、その5つを自動化できれば現場の作業者の余裕が生まれ、職人の高度な技術の要る別な案件を獲得できる」(尾崎社長)。
また、採用活動にも好影響をもたらす。ロボットを導入すると、募集職種が「溶接工」ではなく「ロボットエンジニア」になる。その結果、若い世代が集まり出した例もある。