キヤノンが画像処理ソフト発売でFAに挑む
長年のノウハウ生かす
精度も汎用性も大幅強化
新製品では従来と比べて、画像認識の精度を向上させた。見本画像と対象画像を照らし合わせて比較するパターンマッチングの強化や、人工知能(AI)技術のディープラーニングの機能を追加した。
従来から実現できていた、バーコードや二次元コード、アナログメーターなどの読み取りだけでなく、新製品では英数字も高精度に認識できる。
また、グループ会社 のキヤノンITソリューションズ(東京都港区、金澤明社長)が提供するAI検査プラットフォーム(基盤)「Visual Insight Station(ビジュアル・インサイト・ステーション)」と連携できる。同基盤で提供するAI外観検査などの機能をビジョンエディション2で利用できる。
タブレット内蔵のカメラでも
接続できるカメラの種類も広げた。自社やグループ会社でスウェーデンに本社を置くアクシスコミュニケーションズのネットワークカメラだけでなく、新製品から初めて、高速通信をできる「USB3Vision(ビジョン)」規格の他社製産業用カメラやUVC規格のウェブカメラなどにも対応した。
さらに同社のミラーレスカメラ「EOS Rシリーズ」も使用できる。同機種で撮影した高精細な画像を使うことで、かご車で搬送されている10個以上の段ボール箱の側面に付いたバーコードなどを一度に全て認識できる。
タブレット端末に内蔵されたカメラも使える。タブレット端末にビジョンエディション2をインストールすれば、撮像から認識や分析まで1台で完結する。
プログラムも簡単
外部機器との接続も強化した。IOコマンドやHTTPコマンドで産業用パソコンやプログラマブル・ロジック・コントローラー(PLC)などの各種制御機器を通じて制御できる。例えば、ある数値がしきい値を超えたら、該当箇所の画像を撮像するなどの使い方ができる。
動作プログラムの作成も簡単にできる。事前に頻出する動作や機能に必要な動作パターンが登録されており、ユーザーはそれらを選び、詳細を設定するだけ。それらをフローチャート上に並べていけば、複雑な認識作業もできる。
同社のイメージソリューション事業本部IIS事業推進センターの長谷川文彦主席は「画像認識の精度も汎用性も大幅強化した。アナログメーターの数値の読み取りから、目視検査の代替にも使え、不良を自律的に発見できる。現場作業者の負担を大きく減らす」とアピールする。