[注目製品PickUp! vol.48]薄くて軽い減速機/ニッセイ「UXiMO 扁平・軽量タイプ」
新ブランドの第二弾
ニッセイはプリンターやミシンなどで知られるブラザー工業のグループ会社で、小型歯車や「GTR」ブランドの各種減速機の製造、販売を手掛ける。昨年9月には減速機の新ブランド「UXiMO」を発表し、ロボット業界向け減速機の市場に本格参入した。
UXiMOブランドの第一弾として、「大口径中空タイプ」の減速機を昨年8月に発売。剛性(変形のしにくさ)やトルク(ねじりの強さ)の高さを特徴に持つ他、中空径も広いため内部にドライブシャフトや配線を通しやすく、ロボット設計の自由度も高められる。
今回紹介するのは、その第二弾となる「扁(へん)平・軽量タイプ」の減速機だ。今年11月に販売を始めたばかりで、定格トルクの大きさに合わせて3枠番をそろえた。また、枠番ごとに50分の1と100分の1の減速比をそれぞれ用意した。
幅や重量を半減
扁平・軽量の文字の通り、薄くて軽いことが最大の特徴だ。同じ外径の大口径中空タイプの減速機と比較すると剛性やトルクは下がるものの、幅や重量は半減したという。
減速機事業部開発二部RC開発課の藤田智之課長は「減速機の幅が薄ければ、ロボットの小型化に貢献できる。また、減速機の重さはロボットの可搬質量にも影響するため、軽量化の需要も非常に大きい。こうしたニーズに応えるため、扁平・軽量タイプの減速機を開発した」と説明する。
基本的な構造は第一弾の大口径中空タイプと大きく変わらないが、今回は軽量化を図るためにさまざまな工夫を凝らした。通常は減速機に外付けする入力軸用のベアリングを内蔵したのもその一つで、外付けが不要な分だけロボットの省スペース化を実現できる。
また、減速機の出力軸に組み込まれるクロスローラーベアリングの内輪と内歯車を兼用させたのもポイントだ。ベアリングと内歯車の両方の機能をクロスローラーベアリングに集約することで、部品点数を削減して薄型化や軽量化を図った。
「クロスローラーベアリングの母材には硬度の高い鋼材が採用されている。硬度の高い材料に内歯車の加工をした経験が少なく、わが社にとっては大きなチャレンジだった」と藤田課長は振り返る。
この他、大口径中空タイプの減速機は内歯車の周りを2枚の遊星ギアが回転する構造だったが、扁平・軽量タイプは軽量化のために遊星ギアを1枚に削減。従来は2枚の遊星ギアを対向に配置することで歯車のガタつきを相殺していたが、今回は1枚なので独自開発の「反力プレート」と組み合わせてガタつきを抑える構造を取り入れた。