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2023.10.02

連載

[ショールーム探訪vol.18]虎ノ門で、ロボットの未来を体感/ゼアーレボ「未来ファクトリー」

ゼアーレボ(東京都港区、黒土浩太郎社長)は、協働ロボットを活用した自動化システムの設計などを手がける。今年6月、港区虎ノ門にショールーム「未来ファクトリー」を開設した。多くの人々が行き交うビジネス街で、ロボットの自動化システムを誰でも見られる貴重な場所だ。黒土社長は「子どもたちやこれまで製造業に縁遠かった人たちも、ロボットを身近に感じられる場所にしたい」と語る。

誰もが思わず立ち止まる

未来ファクトリーは、外からでも内部のデモシステムをのぞける

 ゼアーレボは2021年に設立したロボットのシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)だ。三品業界(食品・化粧品・医薬品業界)へのロボットの普及を目指す。

 同社が今年6月に開設した未来ファクトリーは、高層ビルが立ち並ぶビジネス街として有名な虎ノ門に位置する。正面はガラス張りで、通りがかった人が室内をのぞける。取材日も、通行人が足を止め、興味深そうにロボットに目を向ける様子を見て取れた。

 「夏休み期間は、家族連れや子どもが立ち止まって見ている時も多かった。ロボットが実際に動いている様子を誰もが見られるような施設は都内でも珍しく、未来ファクトリーがロボットを身近に感じられる場所になれば」と黒土社長は語る。

ロボットが当たり前にある景色

2台の協働ロボットがそれぞれ、コンベヤーや架台に段ボール箱を載せる

 未来ファクトリーには3つのデモシステムを置く。ファナックの協働ロボット「CRX」シリーズとコンベヤーなどを組み合わせ、パレタイジングやデパレタイジング、ピッキングなどの自動化システムを構築した。

 協働ロボット3台の可搬質量はそれぞれ25kg、10kg、5kgで、現場や対象物に合わせて最適な自動化システムを提案できることを訴求する。

バラ積みピッキングの自動化システムも構築した

 これらのシステムを、平日の10時~17時に常に稼働させている。未来ファクトリーに訪問者がいない時でもシステムを動かしており、段ボール箱を積み換える様子などを外から見られるようにする。

 またロボットが工場や物流拠点などの現場で稼働する様子を、2台のモニターに映像で表示する。このようにするのは、単にショールームの存在をアピールするためだけではない。「子どもたちやこれまで製造業に縁遠かった人たちへ、ロボットが当たり前にある景色を見せて、製造業に興味を持つきっかけを作りたい」という黒土社長の思いからだ。

 虎ノ門にショールームを開いたことで、意外な利点もあったという。「都内からのアクセスが良く、出張がしづらい管理職クラスの人も来やすい。ロボットが動いているところを直接見られ、人が触れれば停止する安全性の高さなども体感できる。そのためこの場で顧客と打ち合わせをすると、より具体的なイメージを共有しながら話を進められる」と話す。

  • 2台のモニターで、ロボットが現場で稼働する映像を流す

  • 人が触れると安全に停止する機能を記者も体験した

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