国内製造業のために、良い物を現場へ/シュマルツ 小野雅史社長(1/3)
情熱も含めて引き継ぐ
――まず、社長就任にあたって、率直な感想をお聞かせください。
初めて話をいただいた時、非常にワクワクしたのを覚えています。世界の真空機器メーカーの中でも、シュマルツは優れた技術を誇ります。ドイツではオラフ・ショルツ首相が視察に来るほど、産業界で知れ渡った存在です。そんな企業の製品を日本に広めるのが次の役目と覚悟し、本当に胸が高鳴りました。
――新社長としての方針は。
まずは、今年いっぱいをかけて、前任のゲッテゲンス・アーネ現会長の業務やこれまで築いた基盤を、引き継いでいきます。ゲッテゲンス会長が2002年に日本法人を立ち上げて、22年間率いてきました。偶然にも私の自宅が近所なのですが、夜遅くに通りかかった時、社屋の一室の電気がよくついていました。入社して分かったのですが、ゲッテゲンス会長の部屋でした。その情熱はしっかり引き継ぎたいです。
「企業」対「企業」の関係へ
――まずは慣れるのを第一優先にされる。
そうですね。その後は会社全体として営業的なアプローチを増やしていこうと考えています。ゲッテゲンス会長は、開発系のエンジニアから日本法人の社長に就任しています。同社製品の性能やゲッテゲンス会長の技術主体のアプローチで、国内製造業によくある「外国メーカーに対する壁」を打ち破ってきました。その結果、使用する生産現場や物流現場から一定以上の評価を得ています。技術的な評価という強固な土台を基に、営業的なアプローチを強化してさらなる発展を目指します。
――なるほど。
今までは「エンジニア対エンジニア」の関係で評価してもらっていた側面が強いと感じています。それを「企業対企業」に昇華させたいんです。これまでは、決裁の際に導入価格だけで比較される場面が少なくありませんでした。そこで、使用する現場の責任者や経営層へ同社の認知度や浸透度を高める必要があります。その上で、性能やブランドの信頼性も含めた判断をしてもらえるよう理解を求めていきます。幸いにして、国内でも導入価格のみではなく、コストに見合った性能やパフォーマンスを求める風潮が強まっており、追い風に感じています。