生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2024.11.19

中小のロボ導入の不安をなくす、支援サービスにミスミが本腰

ミスミグループ本社は、新サービス「MiBOT(ミボット)」の本格展開を始めた。主に中小製造業への産業用ロボットの導入を支援する。全国のシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)と連携し、各用途向けのパッケージシステムを紹介するウェブページを構築した。同ページからの問い合わせをきっかけに、ロボット導入を検討する企業とSIerを仲介する。導入を検討する企業は無料でこのサービスを利用でき、パッケージの詳細ページでは参考価格や納期なども確認できる。ロボットに関する相談先が身近にない企業でも具体的なイメージを持ちながら導入を検討できる。

用途別に38種のシステム

参考価格や納期も明示してウェブページ上に掲載する(提供)

 ミスミグループ本社は今年3月にミボットを開始した。産業用ロボットのパッケージシステムが多数掲載されたウェブページと各種支援サービスを軸にする。
 半年ほどで同サービスを通じた納入事例も増え、同ページの掲載内容を洗練させて運用体制を整えたことから、このほど本格的に展開し始めた。

 現在、複数のSIerが提供する38種のパッケージシステムを掲載している。加工機への投入や実加工、組み立て、検査など用途ごとに分類して表示する。パッケージシステムをベースに検討することで、利用者は自社への導入を具体的に想像しやすい。
 さらに、各パッケージの詳細ページには、細かな仕様や具体的な参考価格、納期などを掲載している。不透明感や不安をなくして利用者側の心理的なハードルを下げるために、こだわった点だ。
 事業責任者は「これだけの種類のパッケージシステムを費用と併せて掲載するのは、ミスミ調べでは国内で初めて。利用者のイメージに近いシステムが見つかりやすいだろう」とアピールする。

 個別のフルオーダーでのシステム構築よりも最大15%程度、導入費用を抑えられるという。「フルオーダーは注文住宅で、パッケージシステムは建売住宅のイメージ。建売住宅でも、完成前なら外壁の色や設備の仕様を選べる場合もある。ミボットもそのようなイメージで、オプションで機能を充実させていく『カスタム式ロボットパッケージ』として提案していきたい」(事業責任者)。

補助金制度の活用も

「ばら積みピッキングシステム」の詳細ページ。右側で費用などが分かる

 導入を検討する企業は、ページに掲載された各種パッケージを比較して、自社で使用したい形に近い物を選択する。
 進んだ先の詳細ページには価格や納期、オプションが掲載されており、具体的に検討できる。

 例えば、ばら積みピッキングをするシステムの場合は、「費用が1,260万円から、納期が6.5カ月から」となっている。
 さらに、導入した顧客の声や稼働する動画も見られる。利用者は、これらを通じて自社への導入のイメージを膨らませられる。
 そのページから問い合わせると、選んだシステムをベースにした無料のカウンセリングをオンライン会議システム経由で受けられる。

パッケージシステムが稼働する動画も多数掲載して、イメージを喚起させる

 カウンセリングは、ミスミグループで機械設計を担うダイセキ(神戸市中央区、五十嵐隆宏社長)の機械設計者が担当する。
 利用者が担当者に具体的な要望や予算感を伝えると、適したSIerが紹介される。
 その際に、導入時の費用負担を抑えるための各種補助金制度の活用なども相談もできる。その上で、補助金の申請支援までサポートする。

 カウンセリングを経て具体的な仕様や費用感が決まった段階で、実際にシステムを構築するSIerとの商談に移る。利用者は仕様や価格、納期をある程度まで把握した状態でSIerとの商談に臨める。
 紹介されるSIerは、納入前に実機を使った検証が可能な企業に限定する。これにより、生産現場に設置した後に思い通りに動かないといったトラブルを未然に防ぐ。これも利用者の不安を取り除く一手だ。

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