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2023.04.03

インタビュー

【スペシャルインタビュー】経済安保法は「攻め」 強い産業さらに伸ばす/経済産業省 産業機械課 安田 篤 課長 

――産機課長としての意気込みを。
 取り組みの柱は4つ。①経済安保の具体的な展開②カーボンニュートラル(CN)について製品でユーザーを支援する③デジタルトランスフォーメーション(DX)④福島復興です。CNについては、ヒートポンプや高性能ボイラー、アンモニア・水素混焼などの技術を重点的に伸ばすことです。DXについては、ロボットやドローンが中心です。ロボットはロボットフレンドリーな環境を構築するという取り組みがあります。また「空飛ぶクルマ」を25年の大阪・関西万博で飛ばす目標があります。福島復興については、ロボットテストフィールドでの活動を活発化し、さらに今年度スタートの世界最先端の研究・開発や人材育成の拠点とする「福島国際研究教育機構」(F-REI〈エフレイ〉)でもロボット関連が5つの柱のうちの1つを占めます。そして、全般的には省エネを進めることが重要です。レベルの高い取り組みには電力消費が付き物ですから。

――例えばDXは製造業でもロボットなどと絡めて注目度が高い。
 DXについては、ロボットやドローンを使うための基盤整備に力を入れねばなりません。技術開発と環境整備の両輪です。例えばロボットを導入しやすい環境である「ロボットフレンドリー」は重要な観点です。また例えばドローンは都市部よりむしろ農村部などの方が実際的なニーズが大きいですから、地方や農村部の物流などでスタートすることになるでしょう。

――21年7月に着任し、1年半以上がたちました。
 課題は山積しています。在任中に全てをやりきるのは難しいでしょうが、全力を注ぎます。着任前は、経験のあったロボットに比べて「工作機械は異なるもの」との認識もあり、特に外為法で制約があるのではとの思いもありました。しかし、日本の工作機械業界は外為法のスキーム内で戦略的にビジネスを展開していることを実感しています。経済安保法は戦略性を持って攻めることを意図しています。プロテクトとプロモートの両方を進めなければなりません。

――直近の課題は。
 国内外に強くメッセージを発信し、経済安保法のスキームに則り5年、10年先の競争力の確保に貢献したいと思います。工作機械や産業用ロボットがグローバルに地位や存在感をさらに高めるべく取り組みます。                              

(聞き手・ロボットダイジェスト編集長 八角秀)


やすだ・あつし
1998年東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻修了、通商産業省(現経済産業省)入省。商務情報政策局、産業技術環境局などでIT政策やイノベーション政策、資源エネルギー庁で電力需給政策などを担当した後、製造産業局産業機械課長およびロボット政策室長として、産業機械やロボット政策を担当する。神奈川県出身、1974年生まれの49歳。

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