[特集 工場物流を刷新せよ!vol.5]物流革新で生産性15%増、効率以外の利点も/オカムラ・ファナックパートロニクス
独自仕様を盛り込める
同社は、国内代理店のオカムラを経由して導入した。オカムラは2014年に国内で初めてオートストアの代理店となり、これまで50システム以上の受注と納入実績がある。そのノウハウを生かし、運用に合わせた多彩なカスタマイズに対応できる。
例えば、ファナックパートロニクスの生産管理システムとオートストアの制御システムを連携させた。そのため、部品の物流を最適化しやすくなった。
また、各部品を入出庫した作業者や時間などを簡単に確認できるため、トレーサビリティー(追跡可能性)を向上できた。
さらに、オカムラが独自設計した入庫専用の「トランスファーポート」を国内で初めて実装した。標準ポートで入出庫作業をできるコンテナは1箱ずつだが、トランスファーポートでは、最大で同時に4箱のコンテナに入庫作業ができる。
28台のロボットで、1時間あたり最大240個のコンテナの入出庫に対応する。入出庫作業などの物流工程では、生産性が従来の2倍となった。全体でも工場内に保管棚や仕掛品の滞留がなくなり、生産スペースを広げられたため、同15%程度の効率向上を達成した。
専用棟ならではの強みも
同社はオートストアの導入を見越して新棟を建設した。
そのため、箱型ロボットのメンテナンススペースを専用部屋として建屋に組み込めた。一般には、グリッド上部の高さに合わせて、建屋内に専用の架台などを組んで同スペースを構築するケースが多い。だが、専用部屋にしたため、メンテナンス作業をしやすい。
他にも空調の循環を妨げないグリッドのレイアウトにするなどの工夫を盛り込んだ。
さらに、生産増強を見据えて、新棟内に増設エリアを確保している。元々、オートストアはグリッドを拡張して、コンテナを増やすだけで保管量を増やせる柔軟性が魅力の1つ。あらかじめ増設エリアを確保することで、その拡張作業も短期間で実施できる。
19年の稼働開始からすでに1度増設しており、今年8月には2度目の増設を計画する。
森元課長は「柔軟性や拡張性、能力向上も容易なため、将来的に見据える生産増強にも十分対応できる」と見込む。
導入を担当したオカムラの物流システム営業部の井上信幸課長は「製造業からの依頼は、計画が中長期を見据えていて、内容は具体的。その分、難しい要件も含まれる。オートストアの国内代理店では、最も経験やノウハウがあり、サポート面も充実するわが社に任せてほしい」と訴求する。
(ロボットダイジェスト編集部 西塚将喜)
※本特集は「月刊生産財マーケティング」とのコラボレーション企画であり、同誌でもこの記事をお読みいただけます。
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