なるか!? リニア搬送の普及元年
リニア搬送に、幅広い選択肢を
ロックウェル・オートメーションの「MagneMover Lite」の展示
米国のロックウェル・オートメーション(日本法人=東京都中央区、矢田智巳社長)も、多くのリニア搬送システムを展開する。
会場では、軽量物向けの「MagneMover Lite(マグネムーバーライト)」をアピールした。
同製品はユニットと搬送台の組み合わせにより、最大2.5~10kgまでの軽量物を搬送できる。直線やカーブ、分岐などのユニットを組み合わせて、レイアウトを構築する。ユニットの連結に手間がかからず、作成したレイアウトを制御ソフトに取り入れるのも簡単という。
防じん性や防水性を示す保護等級はIP65を誇る。粉じんの舞う環境で、搬送物の液体がこぼれる程度ならば、問題なく使用できる。
搬送台同士の衝突防止機能も付いている。1つの搬送台が止まると、後続の搬送台はその直前で停止する。分岐ユニットで複数の搬送ラインを構築していれば、停止した搬送台のあるラインをう回して、次工程に送るといった運用もできる。個別に制御できるリニア搬送システムならではの利点だ。
同社では他にも、高精度な位置決めが得意な「iTRAK(iトラック)」や、産業用ロボットなど最大4500kgの重量物も搬送できる「QuickStick HT(クイックスティックHT)」など豊富なラインアップを用意する。
担当者は「MagneMover Liteは、比較的簡単に導入できる。また、重量物向けや高精度なシステムなど幅広い選択肢を用意する。わが社では、顧客の用途や課題に合わせた提案をできる」とアピールする。
リニア搬送もロボも1つのコントローラーで
B&Rの「ACOPOS 6D」とパラレルリンクロボットを組み合わせた展示
同様に以前から提案に注力してきたのが、オーストリアに本社を置く制御機器メーカーのB&R(日本法人=横浜市西区、小野雅史社長)だ。同社はリニア搬送システム「SuperTrak(スーパートラック)」や「ACOPOStrak(アコポストラック)」などを発売している。
今回は、リニア搬送システムをさらに発展させた磁気浮遊型搬送システム「ACOPOS(アコポス) 6D」を出展した。搬送台を縦横無尽に動かせるアコポス6Dと、パラレルリンクロボットと組み合わせて展示した。アコポス6Dとパラレルリンクロボットを同一のコントローラーで制御しており、同期させた作業をさせやすい。
展示では、搬送中に搬送物の重さを測定し、重さに応じてその後の搬送ルートを変えた。これは、食品や薬品、化粧品の生産ラインで製品を容器に充填した後工程をイメージしたもの。容器への充填量に過不足がないかを重量で確認し、良品と不良品を分けて、それぞれを別の工程に送る。
また、生産ラインでは人手による段取り作業も頻発する。その際に、一部のパネルのみ磁気を切り、安全性を確保する機能なども実装した。
小野社長は「搬送システムやロボットなど複数の装置を組み合わせても、同一のコントローラーで制御できる。国内でも興味深い導入事例が出てきた。独自性の高い顧客の発想も実際に形になるまで、しっかりとサポートしたい」と意気込む。
(ロボットダイジェスト編集部 西塚将喜、水野敦志)
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