床下掘り下げ、ロボット自動倉庫の設置スペースを確保/AutoStore System、東亜ディーケーケー、オカムラ
荷待ちがなくなった
オートストア安高 SICの稼働が今年8月とのことでしたが、それ以前の物流拠点ではどのような課題がありましたか。
東亜DKK中島 わが社は創業から80年以上の歴史があります。SICを建てる前の物流拠点は非常に古く、室内を細かく仕切って多品種を管理していました。出荷する製品を棚から取り出すピッキング作業では長い距離を歩くことになり、作業負荷が大きいのが課題でした。出荷作業を効率化して労働負荷を軽減するべく、自動倉庫を導入しようと考えました。
オカムラ近藤 室内のレイアウトに柔軟に合わせられる点がオートストアの強みです。ある物流施設では、トラックを停車し荷物の積み下ろしをするトラックバースに、部分的にオートストアのビンを設置する事例などもあります。ただ床下の一部を掘り下げるケースは初めてで、ビンを水平に設置できるかなどが難しく、建設会社とも綿密に連携し施工しました。
オートストア安高 そうした工夫を凝らしながら、限られたスペースの有効活用を突き詰めたということですね。導入後の効果はいかがでしょうか。
東亜DKK斉藤 入出庫作業が格段に早くなりました。今まではピッキングに時間がかかり、トラックドライバーが荷物の積み込みや荷下ろしを待つ「荷待ち」が常態化していましたが、オートストアを導入してからはなくなりました。トラックドライバーに引き渡す1時間前にはピッキングが完了しているため、わが社としても定時で仕事を終えられており、現場の作業者からも「楽になった」との声が上がっています。
東亜DKK中島 倉庫の保管効率にも驚きました。SICを建設する前に、旧拠点にあった製品を一時的に貸倉庫に移しましたが、その際に使用したスペースは500㎡ほどでした。それが、オートストアの面積約300㎡に収納できています。しかも、専用コンテナ6740個のうち使っているのは5500個ほどで、収容量にはまだ余裕があります。
オカムラ近藤 製造業で部品の在庫を多く抱える企業が、オートストアを活用し複数の倉庫を一つに集約できた事例は他にもあります。例えば大阪のある企業は、6カ所にあった倉庫を一つの倉庫に集約し、倉庫の維持費や管理費も抑えられました。
オートストア安高 オートストアは物流現場に多く導入されていますが、実は国内の販売先のうち4割が製造業です。近年増加する少量多品種生産の現場にも、オートストアは役立ちます。今後も在庫管理や入出庫作業の効率化を実現できるよう開発に取り組みます。
(ロボットダイジェスト編集 水野敦志)
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