[SIerを訪ねてvol.4]地元企業のロボット普及の起点に【前編】/HCI
SIerとして2つの大きな特徴
HCIはロボットSIerとして2つの大きな特徴を持っている。一つは、柔軟物のハンドリングを得意とすること。もう一つは、機械学習や画像認識などAIの自社開発ができることだ。
柔軟物のハンドリングはロボットメーカーやSIerの間でも、特に技術開発に力が注がれている分野。同社はもともとケーブルやワイヤの製造装置メーカーで、その開発や製造の過程で柔軟物を取り扱う技術を培ってきた。その中には、特許を取得した技術もある。
また、システムインテグレーションの中でAIが必要な場合、構築は専門の企業に任せるのが一般的だが、同社は自社でこなす。「中小規模のSIerでAIを自社開発するところは少ない」と奥山社長は自信を見せる。
優秀な人材を育てたい
同社のSIer事業を担うのは、開発部門である機械グループ、電気グループ、SEグループの3つ。合計14人が所属する。
それぞれ機械設計、電気設計、AIやシステム設計をするが、ロボットのプログラミングは全グループができる上、「機械と電気」や「電気とSE」のように複数のグループの仕事をこなす技能を持つスタッフが多い。「一応グループ分けはしているが、皆汎用性が高く優秀。勉強しなければいけないことは多いが、よく頑張ってくれている」と奥山社長。
SIerとしての戦力をより充実させるには、さらなる人材確保が必要だ。ダイバーシティー(多様性)確保の取り組みを推進し、すでにベトナム人4人が在籍。さらにブータン人1人、ミャンマー人2人の採用も決まっている。
同社が主催する泉大津AI研究会には、企業に在籍するエンジニアやフリーランスのエンジニア、大学生などが参加する。「地元だけでなく、兵庫県や滋賀県から参加してくれる人もいる。縁があれば、彼らとの協業も考えたい」と奥山社長は話す。