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2019.05.23

連載

[注目製品PickUp!vol.13]精密トルク制御でロボットが変わる?! 【前編】/ロボテック「ユニサーボ」

ロボテック(東京都中央区、吉本喬美社長)が製造、販売する電動トルクアクチュエーター「ユニサーボ」は、回転を生み出すアクチュエーター(エネルギーを運動に変換する機構)と減速機、トルクメーターが一体化した製品だ。回転運動のトルク(回転する力の強さ)を精密に制御でき、装置に組み込めばさまざまな機能を付与できる。ロボテックの社名からも分かるように、ロボット向けにも提案する。「他社にない革新的な製品」と市橋真営業マネージャーは自信を見せる。

トルクを測ってフィードバック

 ロボテックは、トルクを計測するトルクメーターなどを製造、販売するユニパルス(東京都中央区、吉本喬美社長)の子会社だ。設立は2015年で、ユニサーボとその応用製品の開発、製造、販売を担う。

 ユニサーボは電動アクチュエーターと減速機、トルクメーターが一体化した製品。アクチュエーターが回転を生み出し、減速機がそのトルクを増幅、トルクメーターがトルクを計測してコントローラーにフィードバックする。これにより、高精度なトルク制御が可能だ。

電流値でもトルク制御はできるけれど…

アクチュエーターと減速機とトルクメーターを一体化

 アクチュエーターの電流値とトルクの大きさは比例するため、トルクメーターがなくても電流の制御で擬似的なトルク制御は可能だ。
 しかし、実際には慣性や摩擦により電流値で制御するトルクと実際のトルクとでは差異が生じるため、高精度なトルク制御は難しい。特に減速機を使用してトルクを高めると、減速機内のギアの摩擦で、トルク制御の精度はさらに落ちる。
 減速機を使わないダイレクトドライブ(DD)モーター方式で駆動させる手もあるが、DDモーターは回転子(ローター)が重くなるため、これだと慣性が大きくなってしまう。

電流値を使ったトルク制御(左)とユニサーボのトルク制御(右)

 一方、ユニサーボは減速機を通して増幅した後の実際のトルクを計測する。「この方式でなければ、繊細なトルク制御は難しい」と市橋営業マネージャーは話す。
 減速機が付いたアクチュエーターにトルクメーターを外付けすれば高精度なトルク制御はできるが、ユニサーボのように専用のコントローラーやソフトウエアがなければ高速なフィードバックはできない。また、ユニサーボはトルクメーター機能がない減速機付きアクチュエーターとほぼ同サイズを実現しており、こうしたコンパクトさもこの製品ならではの特徴の一つだ。

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