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2019.08.22

イベント

鍛圧機械展に見る多彩な「産ロボの使い方」【前編】/MF-TOKYO

7月31日~8月3日の4日間、東京都江東区の東京ビッグサイトで「MF-TOKYO2019(第6回プレス・板金・フォーミング展)」が開かれた。金属に圧力をかけて部品を成形する鍛圧機械などの専門展で、4日間合計で3万人超が来場した。主催団体の日本鍛圧機械工業会、坂木雅治会長(アマダホールディングス相談役)は「MF-TOKYOは単なる機械の展示会ではなく、新たな加工法を提案する場」と話す。その言葉通り多くの企業が加工を実演し、ロボットを使った自動化提案も目立った。

熱い加工素材をつかむ

3万人超が来場したMF-TOKYO

 MF-TOKYOでは、金属に大きな圧力をかけて変形(塑性流動)させて部品を成形するプレス加工機や、金属の板材を曲げたり打ち抜いたりする板金加工機、金属管を曲げる設備など多様な機械が展示された。

 プレスで注目を集めたのが、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の加工だ。今後普及が見込まれる電気自動車はバッテリーやモーターが重く、車体の軽量化が求められる。CFRPを車体に使えば、大幅な軽量化を実現できる。

アミノのシステムの概要

 プレス機メーカーのアミノ(静岡県富士宮市、網野雅章社長)はサーボプレス機「MLSP-150」を展示。産業用ロボットにはプレス機内の金型の上にある加工材料の交換をさせた。

 加工材料をロボットに交換させること自体は珍しくない。このシステムの特徴は、加工材料が熱いこと。金型を加熱しながらプレスする熱間プレスでCFRPを成形する。加工材料も投入前に熱することで、溶けかけた状態でプレス加工を始められ、生産性を高められる。

金型の上に置いたワークは熱く、まだ煙が上がる(アミノ)

 担当者は「加工材料の温度は300度で、冷めないうちにプレスする必要がある。ロボットとプレス機を一体でシステム構築すると、加工材料の投入直後にプレス動作を開始できる。人手では熱くて危険で、安全確認のためプレス機をすぐに動かすこともできないため、ロボットを使った」と言う。

ブランク材の整列不要

コマツ産機のビジョンピッキングシステムの前には黒山の人だかり

 ロボットで板状の加工材料の投入を提案する企業もあった。
 コマツ産機(金沢市、北出安志社長)は、雑然と積まれた板材の「ビジョンピッキング」を発表した。
 金属板から小さな部品を作る場合、大きな板から求める形状を多数打ち抜き、次に打ち抜いた板材を曲げるなど2次加工して完成させる。

 2次加工前の、打ち抜いただけの板材は「ブランク材」と呼ばれる。このブランク材を自動で2次加工するには、事前に専用の装置できれいに整えて積み上げる必要があったが、コマツ産機が提案したシステムでは、雑然と積み上げたブランク材でも自動で2次加工ができる。カメラでブランク材の位置と傾きを読み取り、その位置と傾きに合わせてロボットがブランク材を持ち上げ、2次加工機に投入する。
 ブランク材をきれいに整えて積む専用装置を省略でき、その分生産ラインを短くできる。

2次元カメラを使ったことがポイント(コマツ産機)

 こうしたシステムでは通常は3次元カメラを使うが、独自の画像処理技術により、2次元カメラでできるようにしたことが大きなポイントだ。
 「2次元カメラにすることでコストは約半分、検出時間は3分の1以下に抑えられる」と守安隆史市場開発室長は言う。

 会場内では加工材料を付け替えさせるだけでなく、ロボットで直接加工する展示も多数あった。その詳細は後編で紹介する。

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