マスター・スレーブ制御を産ロボ向けにPR/東洋理機工業
さまざまな組み合わせが可能
東洋理機工業は2月13日と19日に、本社工場でマスター・スレーブ制御ロボットのデモンストレーションと体験会を開催した。自社開発の制御システムを介して、デンソーウェーブの「COBOTTA(コボッタ)」で、ファナックのロボット「R-1000iA」を操るシステムを展示した。小さなコボッタをつかんで動かすことで、大型のR-1000iAを操作できる。
2台のロボットを使って遠隔操作するマスター・スレーブ制御は主にサービスロボットの領域で実用化が進んでいるが、同社は産業用ロボット向けの制御システムとして開発した。ファナック、安川電機、不二越、デンソーウェーブ製のロボットに対応する。
展示システムでは、2台のロボットを有線で接続した。制御プログラムをインストールしたパソコンが、マスター側のコボッタのモーターの情報を受け取り、R-1000iAのデータに変換して送信する。
細見社長は今後の開発について「現場のニーズに応じてカスタムするのが基本。今はマスター1台に対してスレーブ1台のシステムだが、複数のスレーブ機を制御することもできるだろう。また、次世代移動通信規格(5G)など通信環境が整えば無線接続もできるようになる」と話す。
3Kの解消に
マスター・スレーブ制御のような遠隔操作ロボットは、3K(きつい、汚い、危険)職場に導入するとメリットが大きい。同社のマスター・スレーブ制御ロボットは青森県の原子力関連施設にトレーニング用として導入された実績がある。
細見社長は「3Kの解消を目指してシステムインテグレーターをやってきた。これから販売、普及につなげたい」と語った。
会場では、マスター・スレーブ制御のデモンストレーションが披露され、参加者もマスター側のコボッタを操作し、遠隔操作を体験した。コボッタを軽く動かすと、R-1000iAが瞬時に反応してコボッタと同じ動きをする。ハンドの位置を微調整するのがやや難しく、習熟を要する印象だ。
熱間鍛造メーカーで金型を設計する男性は「加熱した加工材料を所定の位置に置く作業に使える可能性がある。材料形状が一定ではないので自動化が難しく、今は人がしているが、暑いし危険もある。熱した材料の温度が下がらないよう、展示機よりもスピードが必要」と期待と要望を話した。
(ロボットダイジェスト編集部 松川裕希)