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2020.05.13

SIerに必要な技能をトータルで教育/バイナス

システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)の事業に加え、教育機関向けにロボットなどの実習装置も製造、販売するバイナス(愛知県稲沢市、渡辺亙社長)。2018年に教育センターを開設し、既存のSIerやSIerになりたい企業を対象に、SIerに必要な技能をトータルで、そして実践的に教育するサービスを始めた。下間篤取締役営業部長は「実践に近い環境で教育サービスを提供できる施設は珍しい」と説明する。

実践に近い環境で

バイナスの教育センターの外観

 バイナスの教育センターは、ロボットや制御機器などを扱える人材を育成するための教育施設だ。SIerとしてロボットシステムを製作するのに必要な技能をトータルで、そして実践的に学習できる。

 ロボットや制御機器など、ロボットシステムを構成する要素機器ごとに教育コースを用意し、受講者のニーズに合わせて教育カリキュラムを組めるのが特徴だ。
 教育には、自社で培ったSIerとしてのノウハウをベースに独自に制作した教材と、教育機関向けに高いシェアを誇る同社製の実習装置を使う。

 「ロボットの配線をどうするかなど、SIer目線での教育を意識している。実践に近い環境で教育サービスを提供できる施設は珍しい」と下間取締役は説明する。

東京センチュリーからレンタルできる、バイナスのロボットの実習装置「ロボトレーナ」

 一般的に、ロボットメーカーは「自社製品をどう上手に、効率的に使いこなすか」という機能面に焦点を当てた教育を提供する。
 これに対し同社は、SIerと実習装置の2つの事業を展開する強みを生かし、SIerの立場からSIerになるための技能を実践形式で教育する。

 3カ月の中から受講者の都合のいい日を8日選んで受講できる8日間コースと、半年の中から16日を選ぶ16日間コースの2つを用意する。また、ロボットの実習装置「ロボトレーナ」は、業務提携先のリース会社の東京センチュリーからレンタルで借りることができ、受講後の復習にも使える。

競合が増えるのはウエルカム

「SIerが増えるのはウエルカム」と下間篤取締役

 教育センターを開設し、SIerに必要な技能を学習できる教育サービスを始めたのは18年。既存のSIerと、これからSIerになろうと考えている企業、そして自社でロボットを扱う大手製造企業の生産技術部などが主なターゲットだ。
 下間取締役は「昨年は大手製造企業を中心に約50社が受講した。当初の計画を大幅に超える受講社数を達成できた」と振り返る。

 受講者が増加すれば、同社の競合も増える。これに対し、下間取締役は「SIer業界自体の認知度が低いので、SIerが増えるのはウエルカム」と前向きだ。

 今後は、協働ロボットの教育コースを設けるなど、教育カリキュラムを拡充する考え。また、日本企業への就職を希望する外国人を対象にした技能教育も視野に入れる。

(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)



※この記事の再編集版は、設備財や工場自動化(ファクトリーオートメーション=FA)の専門誌「月刊生産財マーケティング」2020年5月号でもお読みいただけます。

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