倉庫作業を省人化するSLAM方式の低床AGV発売/中西金属工業
かご車の下に潜り込むAGV
中西金属工業(大阪市北区、中西竜雄社長)は今年4月に、低床の無人搬送車(AGV)「ROBO Rook(ロボルーク)」の自動運転タイプを発売した。同社はベアリング部品のリテーナー(転動体保持器)を製造する他、自社製品としてコンベヤー、フォークリフト、AGVといった搬送機器を開発、製造する。
台車で重量物を運搬して、物を落としたり、けがをした、あるいはしそうになってひやっとしたことはないだろうか。そういった危険を伴う倉庫作業の現場では近年、人手不足が顕著だ。同社のAGVは台車を使った運搬を自動化し、倉庫作業の省人化に貢献する。
ロボルークは、低床を生かしてかご車や台車の下に潜り込み、リフトアップして運搬する。通常時の本体の高さは180mmで、運搬時は40mmリフトアップする。最大積載質量は500kgと1tの仕様がある。光川竜右物流推進室室長は「180mmの高さに内部構造を収めるのが難しい。1tまで運べるAGVとしては業界最薄」と語る。
2017年に磁気テープで誘導するタイプのロボルークを発売し、今年4月には自動運転タイプを発売した。新型はレーザーセンサーで周囲をマッピングし、自動で障害物を避けて走行するSLAM(スラム)方式を採用した。前進、右左折、その場でのスピンターンができる。
省人化の先の自動化を
光川室長は「倉庫における物流の自動化は、この2、3年で一気に切実さが増した。従来の自動化の引き合いは生産能力の向上が目的だったが、今では省人化しつつ生産能力を維持する目的に変わった」と言う。
倉庫作業の自動化は省人化や長時間操業につながり、けがなどの事故を防ぎ、作業情報も記録しやすくなる。
ロボルークは狭い通路でも台車ごと移動できるので、通路を狭めて棚を増やし倉庫の容量を増やせるメリットもある。光川室長は「AGVというカテゴリーでは先行するメーカーがたくさんあるが、未解決の問題を解決し、省人化の先にある自動化を実現したい」と意気込む。
同社は倉庫作業の自動化ニーズに応えるため、ソリューションの充実を図る。ロボルークの他にも、無人フォークリフトの「ROBO Fork(ロボフォーク)」を販売しており、今後は高所用フォークリフトなどの自動化にも取り組む。
(ロボットダイジェスト編集部 松川裕希)