韓国のロボット市場、25年には20兆ウォンに
導入密度は世界2位
韓国は世界有数のロボット市場だ。
国際ロボット連盟(IFR)が昨年9月に発表した「ワールド・ロボティクス・リポート2020」によると、19年の韓国の産業用ロボットの新規導入台数は2万7900台で世界4位だった。
また、製造業の従業員1万人当たりの産業用ロボットの導入台数を示す「導入密度」が855台と非常に高く、シンガポールに次ぎ世界2位を誇る。
韓国は日本と同様、少子高齢化が急速に進む。人口統計によると、19年の人口増加率は0.05%と08年に統計を開始して以来、最低値を記録した。15歳~64歳の生産年齢人口も減少の一途をたどる。
裏を返せば、それだけロボットや自動化の需要があるとも言える。
政府は、18年に5兆8000億ウォンだった韓国のロボット産業の市場規模が25年には20兆ウォンに増加すると見通す。20年10月28日には、ロボット関連の各種規制を段階的に緩和するロードマップを発表。産業、商業、医療、公共の4分野の規制22件に関し、古い法制度を見直す。
製造業関連では、安全柵なしで使える協働ロボット導入時の認証規制の緩和や、搬送ロボットの安全性能評価基準の策定などを盛り込んだ。
協働ロボでチキンを調理
韓国の民間企業もロボット関連の技術開発に力を注ぐ。
17年4月に現代重工業から分社化した韓国最大手のロボットメーカー、現代ロボティクスは20年10月23日、ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)の韓国現地法人と業務提携した。
協働ロボットを使ってチキンを調理するシステムを共同開発する計画で、ソ・ユソン最高執行責任者(COO)は「新しい分野にロボット技術を適用し、事業をさらに拡大したい」と話す。
工作機械メーカーの現代ウィアは20年11月19日、ロボットや自律走行型の搬送ロボットをベースとした「RnA統合ソリューション」を22年までに商用化すると発表した。工作機械やロボット、搬送ロボットを一つの自動化セルシステムとして構築し、多品種少量生産に柔軟に対応する。
関係者は「全社を挙げてRnA統合ソリューションの開発に取り組む」と述べる。
また、韓国で最も歴史の古い財閥である斗山グループが15年に設立した協働ロボットメーカー、斗山ロボティクスは20年7月、協働ロボットの新製品を発表した。
コストパフォーマンスに優れた「Aシリーズ」と、高可搬タイプの「Hシリーズ」の2シリーズで、従来の「Mシリーズ」と合わせてラインアップを大幅に拡充した。