相次ぐ新規参入、AI×ロボットで抜群の汎用性【後編】/日栄機工
会話でも指示が可能
前編では、ロボットとAIを組み合わせた外観検査システムを紹介したが、ロボット自体にAIを組み込んだ製品も登場している。
日栄機工は、ドイツのロボットベンチャー企業ニウラロボティクスの国内唯一の正規代理店として、AI搭載の協働ロボット「MAiRA(マイラ)」を昨年夏に販売した。
例えば、物をつかみ上げて別の場所に置くピック&プレース作業では「何をどこに置くか」だけ設定すれば、つかむ位置や角度、経路などはマイラが自動で判断して作業を遂行する。5分もあれば、ばら積みピッキングの設定が完了するという。
アーム先端に搭載した3次元(D)スキャナーで取得した点群データを、AIと親和性が高い画像処理半導体(GPU)で処理。立体的な面として物を認識するため、認識精度が高く、つかむ対象物とコンテナが同色でも正確に把握できる。
人が近くに来た時は動作速度を落とすだけでなく、アームが衝突しないように即座に動作経路を変えるといった制御もできる。
音声認識・対話機能もあり、スマートフォンのAI音声アシスタント「Siri(シリ)」や「Google(グーグル)アシスタント」のように、対話形式で口頭でも指示ができる。グリッパーの開閉やあらかじめ設定した位置にアーム先端を動かす動作、制御モードの切り替えなどが可能だ。
また、ジェスチャーでも指示が可能で、人の指でなぞった部位を作業対象部位としてロボットに認識させる、手のひらを突き出して停止させるといった指示ができる。
「マイラはAI、安全確保のためのセンサー、3Dビジョンセンサーなど、オール・イン・ワンであらゆる機能を搭載する。その分本体価格だけ見れば高価だが、システム全体では大幅に費用を抑えられる」(川元社長)
協働ロボットのマイラの他、AI機能を搭載し、マイラ同様に音声指示などが可能なネウラロボティクス製の自律走行型搬送ロボット「MAV(マブ)」なども販売する。