[ロボへの道も一歩からCase.1-⑫(最終回)]ロボットのある日常へ/サンエース編
一歩を踏み出したサンエース
【前回までのあらすじ】
水栓金具の組み立てや検査をするサンエースは、システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)に頼らずにロボットシステムの導入を進めた。目的は配管に使う鋳物部品「エルボ」の検査工程の自動化だ。昨年末にロボットを導入し、ハンドや、ストッカー(エルボを入れる箱)を置く昇降台、検査機などを設置。プログラムを組んで、実際の作業と同じ動きをロボットにさせることに成功した。
「最初にお邪魔した頃は『SIerの力も借りるかも』という話もありましたけど、ここまできましたね」(記者)
「素直に『すごい』と思います。斉藤さんとは長い付き合いなので、本人が『やる』と言ったら、最後までやりきることは知ってました。糠谷さんもロボットの計画に参画してくれ、スキルを身に付けてくれました。本当にいい経験になりました」(藤田社長)
「機械を触れて、物を作れる人も入れてもらえると、もっと楽になるんですけどね」(斉藤さん)
品質管理の糠谷さんも作業を手伝うが、製造に携わっていたわけではないため、工作機械を使ってハンドなどの部品を作ることはできない。
「ですよねー。でも、こういう物(ハンド)を作れる人は、なかなかいないんですよ」(藤田社長)
「まだ今のロボットシステムが完成したわけではないですけどね」(記者)
「ハンドの電源などをつなげば、ある程度は問題なく動きます」(斉藤さん)
「これまではロボットの動きだけでしたが、ようやく全体を試せる段階まで来ました。そこでどんな課題が出るのかを見たいですね」(藤田社長)
ロボットがストッカーからエルボを取り、検査機にセットして、検査後に取り出す。この一通りの動きをロボットにさせることには成功した。ただし、検査機とロボットはまだ連動できていない。これから問題も多く起こるだろう。昇降台とロボットを連動させるのもまだ先になる。
しかし、ストッカー1段分の作業の自動化だけなら、実際に現場で活躍する日も近い。もうすぐロボットが工場で活躍する日常が始まる。
その一歩を踏み出した。
――サンエース編 おわり
(ロボットダイジェスト編集部 渡部隆寛)
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