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2021.05.06

工場から人を消す! 画像検査からロボットへ【前編】/リンクス 村上慶社長

リンクス(東京都品川区)は、工場自動化(ファクトリーオートメーション=FA)向けに画像処理ソフトウエアや産業用カメラなどを輸入販売する技術商社だ。部品の寸法や外観などを自動で確認する画像検査システムを得意とする。こうしたマシンビジョンの需要は伸びており、「人工知能(AI)」と「3次元(D)センサー」が大きなトレンドという。村上慶社長に話を聞いた。

世界の優れた製品を発掘

画像処理システムや産業用カメラを輸入販売。写真はBasler(バスラ―)の産業用カメラ

――リンクスはどのような会社ですか?
 わが社が目指すのは、「工場から人を消すこと」です。そう言うと少し過激に聞こえますが、工場はできる限り自動化し、人は人にしかできない高付加価値な仕事をすべきだと考えています。完全な自動化にはまだまだハードルがあります。そのハードルを解消する製品や技術を「メーカーとして一つ一つ開発していく」のも一つの方法だとは思いますが、われわれは商社として、そのハードルを解消できる製品や技術を世界中から発掘し、日本の製造現場に届けたいと考えています。

――扱うのはどのような商材ですか?
 マシンビジョン用の画像処理システムや産業用カメラが中心です。例えば、部品の寸法検査や外観検査などに使う製品です。ドイツやスイス、フィンランド、カナダなど欧米の11ブランドの製品を販売しています。技術商社として販売前後もしっかりとサポートするため、全て総代理店として販売しています。

AI検査が現場に

看板製品のハルコン(写真は今年3月の国際物流総合展)

――マシンビジョン分野での最近のトレンドは?
 AI活用と、3次元センサーが大きなトレンドです。創業時から扱う画像処理ソフト「HALCON(ハルコン)」がまさに典型ですが、画像処理ソフトにディープラーニング(深層学習)などのAI機能が組み込まれ、現場に浸透し始めています。人が設定したしきい値の上か下かで判断する、従来の自動検査システムでは検出できなかった異常も見抜きます。

ハルコンのAI機能

――実用段階の設備としての普及が既に始まっているのですね。
 そうですね。自動車部品の全数検査などでも既に使われています。また、AIの活用事例が増える中で、汎用の画像処理ソフトを用いたAI活用の利点も明確になってきました。画像検査にAIを使う場合、その目的専用にAIアルゴリズム(処理の手順や方法)を作り込むこともできますが、工程や対象物が変わると大幅な作り直しが必要です。その点、ハルコンなどパッケージソフトに組み込まれた汎用性の高いAIなら、分類や検出などの基礎的な機能があらかじめ豊富に準備されているため、対象物や目的に応じてそれらの基礎機能を組み合わせることで、ゼロからプログラミングすることなく素早く適用できます。

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