ロボットの生産能力も強化、100億円投じて新本社工場を建設/ハイウィン
産ロボ関連のシステム製作も
ハイウィンは台湾中部の台中市に本社を置く機械要素部品メーカーで、各種ロボット製品も製造、販売する。創業は1989年で、日本には99年に進出した。
同社は神戸市西区の神戸サイエンスパーク内に日本法人の新本社工場を建設する。総工費は約100億円。鉄骨造の一部3階建てで、延べ床面積は約1万4500㎡だ。2022年5月にしゅん工する予定で、今年5月31日には起工式を開いた。
新本社工場では主に、ボールねじやリニアガイド、単軸ロボットといった直動製品の二次加工に加え、自動化機器のユニット製品の組み立てや産業用ロボット関連のシステム製作を手掛ける。研究開発拠点やショールームも併設する。
台湾グローバル本社の卓永財総裁は起工式で「新工場が稼働すれば、年間300億円以上のサービスが提供できる。日本に製造基盤を持つことに大きな意味がある」と述べた。
要素部品も自社で一貫生産
同社は垂直多関節ロボットや水平多関節ロボット、パラレルリンクロボット、単軸ロボット、ウエハー搬送ロボットといったロボット製品だけではなく、サーボモーターやドライバー、電動グリッパーなどの主要な要素部品も全て自社で一貫生産できるのが強みだ。最近はシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)の機能も強化しており、製品の販売からロボットシステムの構築まで含めたトータルソリューションを提供する体制も築いた。
日本法人の中田修由専務は「『軽量なウエハーを搬送するロボットで、カタログスペック以上の重量物も搬送したい』という、難しくて競合他社が敬遠した相談を過去に受けた。これに対し、わが社は要素部品も含めて全て専用設計して一から製作し、短納期で提供した実績がある。要素部品を内製しているからこそ、お客さまの要望に柔軟に対応できた」と強調する。
自動車をはじめ産業機械や食品、半導体など幅広い業界がロボットのターゲット市場だ。
「引き合い件数は順調に伸びている。もともと自動化の需要はあったが、新型コロナウイルス感染症対策で『3密(密集、密接、密閉)』を避ける機運が高まり、その需要がさらに拡大した」と中田専務は分析する。新本社工場の建設を機にロボット製品の生産能力をさらに強化し、高まる需要を取り込む狙いだ。
また、同社は日本市場での競争力をさらに高めるため、新本社工場に続く生産拠点や物流センターを今後新設する計画も立てている。
事業拡大に伴う人員の増強が足元の課題で、人材確保のため一般認知の向上にも意欲的に取り組む。その一環で、大学との産学連携なども始動した。
(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)
※この記事の再編集版は、設備財や工場自動化(ファクトリーオートメーション=FA)の専門誌「月刊生産財マーケティング」2021年7月号でもお読みいただけます。