生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2021.08.03

インタビュー

トータルソリューションを「当たり前」に【後編】/デンソーウェーブ相良隆義社長

産業用ロボット、自動認識機器、制御機器を製造、販売するデンソーウェーブ(愛知県阿久比町)。今年4月に就任した相良隆義社長は「事業部間の連携をもっと強化する必要がある」と話す。現在はソリューションビジネス推進部が主体となり、ロボットや自動認識機器など社内のリソースを組み合わせたトータルソリューションの開発に取り組む。「今年中に基礎固めをし、3年後には全社員が当たり前のようにトータルソリューションを提案できる状態にしたい」と語る。

社内のリソースを組み合わせる

IoT技術を生かして設備の稼働状況を可視化する(提供)

――前編で「自動認識機器など他の事業部のリソースとロボットを組み合わせたトータルソリューションを提案したい」と話していましたが、事業部の垣根を越えた連携をどう推進しようとお考えですか。
 前編でもお伝えした通り、わが社はロボットだけではなく、QRコードや電子タグ(RFID)といった自動認識機器、制御機器、モノのインターネット(IoT)技術など、幅広い事業を展開しています。これらのリソースを組み合わせ、顧客の自動化ニーズにトータルで対応できるのが強みです。製造現場には自動化できていない領域がまだ残されており、中にはロボットだけでは解決できない課題もありますが、自動認識機器など他の事業部の技術を生かせば解決できる可能性も高まります。ですから、事業部間の連携をもっと強化する必要があります。それに当たり、今はロボットやQRコード、IoT技術など社内のリソースを組み合わせたトータルソリューションの開発に取り組んでいます。

――QRコードやIoT技術は、ロボットとも相性が良さそうです。
 立場上、さまざまな企業の経営者と話す機会がありますが、企業の課題は最終的に「生産性をどう高めるか」に行き着きます。わが社の事業は全て、製造現場の生産性を高めるために開発された製品やソリューションが基になっているので、相乗効果を発揮しやすいでしょう。生産性を高めるには現状把握が必要ですが、それには設備の稼働状況を可視化するIoT技術が役立ちます。そして、ボトルネックになっている工程に対してロボットや自動認識機器などを提案し、生産性向上を支援する流れを構築したいです。

「困った時はより厳しい道を選ぶ」と相良隆義社長は話す

――課題は何ですか。
 全社員がトータルソリューションを提案できるような風土を作りたいのですが、それには全社員の目的意識を「ロボットを売る」から「顧客の生産性を高める」へと変える必要があります。その意識統一が大きな課題です。まずは今年中に基礎固めを進め、3年後には全社員が当たり前のように提案できる状態にしたいです。

――最後に社長ご自身のモットーや性格について教えてください。
 「困った時はより厳しい道を選ぶ」というのを心掛けています。人間は困ったことがあると本能的に楽な道を選びがちですが、たいていは後になって悔やみます。厳しい道を選ぶと損をしそうに見えますが、最終的にはうまくいくことが多いと感じています。また、私の性格ですが、これまで長い間専用機や生産ラインを作ってきたからか、誠実に事に当たるタイプだと自己分析しています。一方、新しい物や若者文化に触れるのも好きですね。

――ありがとうございました。

――終わり
(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)

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