モーター内蔵のローラー「パワーモーラ」は、伊東電機（兵庫県加西市、伊東徹弥社長）の他の製品にも多く使われるコア製品だ。「id-PAC（パック）」も、パワーモーラをベースに生み出された。新型コロナウイルス禍によりインターネット通販が急拡大する中で、短期間で導入できる点が評価され、id-パックは物流業界からも注目を浴びる。2020年に立ち上げたショールームや展示会への出展を通じて拡販に取り組む。

　伊東電機のパワーモーラは1988年に発売したブラシレスモーター内蔵のローラーで、少ないエネルギーで重量物を搬送でき、省エネ性や安全性が高い。
　id-パックは、パワーモーラの普及拡大を狙って開発された製品だ。id-パックはケース搬送だけでなく、荷物を積んだ荷役台（パレット）など重量物の搬送や保管にも活用できる。

　98年、パワーモーラは大きな転換点を迎えた。大規模な物流を扱う米国郵便公社（USPS）の物流工場で郵便物の仕分け作業に標準採用された。トラブルの原因が容易にわかることや作業者に対しての安全性が評価された。
　これをきっかけに2000年以降のネット通販普及の波に乗り、世界各地でネット通販の物流業界を中心に売り上げを伸ばした。米国に続いて欧州で実績を重ねた後、中国などのアジア圏にも着実に導入事例を増やした。普及をさらに拡大するため、各種モジュール（自在に組み替えられるユニット）をそろえて2016年に発売したのがid-パックだ。