[気鋭のロボット研究者vol.24]既存技術や材料を組み合わせ実現【後編】/近畿大学 柴田瑞穂准教授
ロボットを真空パック
より実用的な用途として、水中で使えるロボットハンドやセンシングユニットが考えられる。「簡易ではあるものの、非常に低コストで防水性や防じん性を得られるのがメリット」と柴田准教授は力を込める。簡単に真空パックのやり直しや追加ができるのも魅力だ。水滴やちりの多い現場でロボットを使う時に、要所を保護するなどの使い方も期待できる。
最大の課題は、真空パックすると外部との接触が断たれる点だ。例えば記録したデータの転送や、バッテリーの給電のために有線でつなぐことができない。「無線技術があるが、信頼性の面で一歩及ばない」と柴田准教授は指摘する。解決のポイントとなるのは、外部と接続する部分のインターフェース。「今後は企業との共同開発も視野に入れて、用途や改良を検討したい」と話す。
(ロボットダイジェスト編集部 松川裕希)
柴田瑞穂(しばた・みずほ)
2006年立命館大学理工学研究科総合理工学専攻修了。08年立命館大学理工学部ロボティクス学科助教、11年近畿大学工学部知能機械工学科講師。13年同ロボティクス学科講師、近畿大学次世代基盤技術研究所先端ロボット工学研究センター所員。18年近畿大学工学部ロボティクス学科准教授。「ワールドロボットサミット」ものづくり競技委員会委員。福岡県出身の43歳。