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2022.04.28

インタビュー

[特別企画 新ロボット展 in 愛知 vol.7]中小に広げる第一歩に/FA・ロボットシステムインテグレータ協会 久保田和雄会長

産業用ロボット展「ロボットテクノロジージャパン(RTJ)2022」では、産業用ロボットのシステム構築を担うシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)の展示も見どころの1つ。業界団体のFA・ロボットシステムインテグレータ協会(SIer協会)は、会期中に主催イベントを開催する。会長の久保田和雄三明機工社長に協会の取り組みやRTJ2022への期待を聞いた。

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――SIer協会は今年7月で発足から4年を迎えます。今の重点施策をお教えください。
 3つあり、発足当初から変わっていません。まず1つ目が、SIerを中心にしたロボット業界のネットワーク構築です。これは4年間で大きく進歩しました。会員数が144社で始まったSIer協会ですが、現在は292社にまで広がりました。全国規模の組織になると同時に、各地域での連携も活発になっています。2つ目が、SIerの事業基盤の強化です。これまではSIer間での連係が希薄だったのですが、ネットワークの広がりとともに、協業体制が広がっています。

――3つ目は。
 システムインテグレーション(SI)の専門性の高度化です。そもそもこれまでSIerの人材のレベルを測る基準がありませんでした。そこで「ロボットSI検定」を創設しました。まずは3級から取り組みを始め、今年から2級の試験を開始します。また、会員外にも3級の受験資格を広げます。3級でも実務経験が5年程度の知識を求められる実践的な内容です。この検定で対外的に受験者個人のSI能力を示せる。それだけでなく、階級別に必要なスキルを提示することで、受験者に足りない能力を体系的に認識してもらい、スキル向上に役立ててほしいです。

――反対に、まだ足りない部分はありますか。
 それはただ1つ、認知度です。ロボットの社会実装が進む中でSIerが不可欠な存在とはまだまだ知られていません。大手メーカーならばSIer抜きにでも自前でロボットシステムを組めます。ただ、今まさに人手不足などに困窮する中小製造業は、自前では難しい。産業用ロボットの普及は、われわれSIerに任せてほしいぐらいの気概を持っていますが、認知度が追いついていません。今後も、幅広い広報活動を続けます。

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