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2020.05.28

連載

[SIerを訪ねてvol.15]けん玉だけじゃない! DXで未来を開く【後編】/マクシスエンジニアリング

名古屋市千種区に本社を置くシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)のマクシスエンジニアリング(水野敬三社長)。顧客ニーズへの対応力を強みに持つが、浅野好文常務執行役員は「このままだと『言われたことしかできない』会社になる恐れがある」との危機感も抱く。「受け身体質」から脱却し、創造力を持った企業を目指すため、自社ブランド商品の新規開発や拡販に注力する。今後は、デジタル技術で事業を革新する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」時代を見据え、「デジタル支援型のSIerを目指す」との将来像を掲げる。

自社ブランド商品の拡販、新規開発

 「けん玉ロボット」などユニークな取り組みで知られるマクシスエンジニアリングは、ロボットや専用機を駆使した工場自動化(ファクトリーオートメーション、FA)装置を設計、製作するSIerだ。
 顧客ニーズへの対応力に強みに持ち、ニーズに最も合ったFA装置の構想設計から製作までをワンストップでできる。

 しかし、浅野好文常務執行役員は「今ある強みだけに依存すると、『言われたことしかできない会社』になる恐れがある」との危機感も抱く。

 そこで同社は「エンジニアリングの価値は創造性の追求にある」との理念に立ち返り、SIerが陥りがちな「受け身体質」から脱却。前編でも紹介したばら積みピッキングシステム「ピッキング・アイ」やビジョンセンサー「3Dロボットアイ」などの実績を踏まえ、外部の研究機関と連携しながら自社ブランド商品の新規開発や拡販に取り組み、顧客満足度の向上を目指す。

接触型と非接触型の検査システムを披露

ねじ穴検査ロボットシステムMTR-001

 開発に特に注力するのが、ロボットを使った自動検査システムだ。接触型と非接触型の2つの検査システムを新たに開発し、2019年12月に東京で開催された「2019国際ロボット展(iREX2019)」で披露した。

 接触型の検査システムは「ねじ穴検査ロボットシステム MTR-001」。「ねじゲージ」と呼ばれるねじ穴を測る測定工具を持たせたロボットに、力覚センサーや画像処理技術を組み合わせた。従来は人手に頼っていた自動車関連のダイカスト部品や家電関連部品などのねじ穴検査をロボットで自動化した。

 ロボットがねじゲージをねじ穴に差し込み、ねじ穴の径や深さを検査し、設計基準に対してOKかNGかを判別する。ねじゲージをねじ穴に差し込んだ時の力のかかり具合もデジタルデータとして測定し、現場レベルでデータを活用して稼働や品質の安定を目指す。

ホロ照明ユニットMHA-P30

 また、非接触型の検査システムでは「ホロ照明ユニット MHA-P30」を開発した。ホロ照明ユニットをロボットに搭載すれば、従来の照明では困難だった光沢部品表面の凹凸や傷の検査を自動化できる。

 最大の特徴は、独自開発の特殊なフィルム「ホロシート」。ホロシートを組み込んだ照明で部品の光沢表面を照らせば、曲率(曲面の曲がり具合)や凹凸の変化を明確にセンシングでき、微小な傷や微小な凹凸も高い感度で検出できるという。

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