[進化する物流vol.7]最先端が一堂に、国際物流総合展リポート【その4】
コンテナの奥まで入り込む自走ロボ/川崎重工業
川崎重工業は国際物流総合展の会場で、混載デバンニングロボット「Vambo(バンボ)」を展示した。
デバンニングとは、輸送用コンテナから貨物を取り出す作業を指す。特に輸出入用コンテナでは、奥行きが長いため機械装置を使いにくく、内部の箱の形状が一定でないなどの課題があり、自動化が難しかった。そこでコンテナの内部まで入り込む自走ロボットを開発した。
同社製ロボットと中西金属工業(大阪市北区、中西竜雄社長)の無人搬送車(AGV)を組み合わせた。さらに人工知能(AI)を使った3Dビジョンシステムとバンボ専用のロボットハンドなどを一体にして、パッケージで提案する。1時間当たり最多で600個の箱を取り出せる。対応できる箱寸法は最大で600mm角程度、最小で250mm角ほど。30kgの荷物まで取り扱える。
まず、対象のコンテナまで自律移動し、コンテナの側壁を認識して位置を調整してコンテナ内に進入する。内部では3DカメラとAIを組み合わせたビジョンシステム「K-VStereo(KVステレオ)」で、箱までの距離や箱の形状、積まれ方を認識して、上部から順番に取り出す。さまざまな形状やサイズの箱が混載されたコンテナの中にある、斜めに積まれたような箱にも、角度を合わせて対応できる。
取り出し作業では事前のプログラミングは不要で、操作開始のボタンを押すだけで自律的に箱の位置を認識して作業する。
精密機械・ロボットカンパニーロボットディビジョンの吉桑栄二産機ロボット統括部長兼産機システム部長は「わが社の技術を使えば、これまで自動化が困難だった作業にも対応できると信じて開発した。今後は生産性を上げながら、箱だけでなく、自動車用タイヤなどそのまま詰め込まれる物品も扱えるようにしたい」と意気込む。