「人材育成」で業界貢献へ、教育事業に乗り出す/バイナス
3つのカテゴリーを用意
バイナスが今回用意した講習のカリキュラムは大きく①階層別②エンジニア向け③資格・修了証向け――の3つのカテゴリーに分かれる。
①の階層別では、新人エンジニアを対象とした研修「初めてのDX技術」をはじめ、ロボット導入企業の経営者や工場長に向けたセミナー「ロボット導入前の『じならし』の大切さ」、製造業の経営者や工場長を対象としたセミナー「難局に打ち勝つために製造現場は何を考え、何を実行すべきか」を実施する。
例えば初めてのDX技術では、ロボットやセンサー、制御機器のプログラマブル・ロジック・コントローラー(PLC)といったFA化やデジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル技術で業務プロセスを変革すること)に必要な6つの機器の基礎知識を5日間かけて新人エンジニアに教育する。受講料は税別で15万円となる。
②のエンジニア向けではロボットの制御技術の研修と、技能検定の「シーケンス制御作業」対策コースの2つを用意。③の資格・修了証向けは、「労働安全衛生規則第36条31号」に規定された安全講習であり、ロボットの教示業務に必要な安全知識などを教える「産業用ロボット特別教育」を実施する。
特別教育など既に定期開催している講習もあるが、他の講習もこれから本格的にスタートする。
専門知識を備えた同社の技術者らが講師役を務め、第二工場の2階に設けた専用の実習施設で講習を開く。実習施設にはロボットやPLCの実習装置もあり、受講者は座学だけではなく実習装置も実際に体験しながら知識を深められるのが特徴だ。同社は職業訓練校など教育機関向けにFA技術の教材や実習装置を長年提供しており、各講習に使用する教材もこうしたノウハウを生かして独自に開発した。永井伸幸取締役は「なるべく実機に触れてほしいとの思いから、あえて受講者を少人数に絞って講習を実施したい。実技へのこだわりが大きなポイント」と説明する。
受講料や日数は講習によってそれぞれ異なる。新人エンジニア向けの研修や特別教育など、あらかじめスケジュールが決まっている講習もあるが、受講先の企業の個別の要望にも柔軟に対応していく構えだ。
現在は中部地区の製造業の顧客への情報発信に力を入れており、会社のウェブサイト上にも各講習の特設ページを用意した。教育センターの新井裕二センター長は「PR活動を始めたばかりだが、商社からの反響は大きい。ロボット導入企業だけではなく競合のSIerも含め、幅広い方に講習を受けてもらえれば」と語る。