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2023.03.15

連載

[活躍するロボジョvol.17] 私の技術で、もっと多くの人を楽に/シナノケンシ 礒野仁美さん

礒野仁美さんはシナノケンシ(長野県上田市、金子元昭社長)で、ロボットハンド関連のアプリケーション開発など幅広い業務に携わる。入社後にロボット関連の部署に配属されるまでは、ロボットに触れたこともなかった。入社してからの約3年間で多くの経験を重ねて、ロボットに携わるやりがいを見つけた。「ロボットは人の作業を代替して、人の負担を減らします。私が携わった技術で、より多くの人が楽になってほしいです」と意気込む。

ハンドのアプリ開発を担当

 シナノケンシは、「ASPINA(アスピナ)」ブランドで小型モーターを手掛けるメーカーだ。
 自社のモーター技術を生かせる新規事業として、2016年からロボットハンドに着目し、19年にはロボットハンド事業に参入した。
 主にその事業を担当するRSビジネスユニット技術2部開発設計2課の礒野仁美さんは20年の入社から3年間、ロボットハンド関連のアプリケーション開発に携わってきた。
 例えば、同社の「電動3爪ロボットハンド」では、ロボット側のコントローラーに同ハンドの制御機能も簡単に組み込める。その機能拡張用のプラグインソフトウエアの開発や動作テストを手掛ける。新規機能に対応したソフトの開発や、プログラムの誤りがないかを実際に稼働させて確認する「バグ出し」作業などに取り組む。

 また、展示会に出展するデモ機の動作プログラムの構築や、顧客の対象物(ワーク)を使った把持テストと評価レポートの作成なども担う。

ロボ未経験から最前線へ

「入社までロボットには縁もゆかりもなかった」と礒野さん

 幅広い業務をこなすが、「実は入社までロボットに縁もゆかりもなかったんです」と明かす。
 大学時代は海洋学を学んできた。海洋の潮の流れをシミュレーションする研究に取り組む中でシミュレーションの楽しさを覚え、修士課程では工学部に転身。シミュレーションを使い、さまざまな環境要因を加味して最適な鳥の飛行経路を導き出す研究などに取り組んだ。

 その後、製造業を中心に就職活動を始めた。シナノケンシへの入社が決まって配属されたのが今の部署だ。「モーターなどの機械工学、制御する電気工学、ソフトを構築する能力が総合的に求められますが、私はまだまだです」と謙遜する。

「プログラム構築を1人で成し遂げると嬉しいです」

 同社は新規事業としてロボット分野に注力しており、礒野さんに幅広い業務を任せる。
 礒野さんには、その状況が合っていた。もともと好奇心旺盛で自主的に動き、新しい知識を楽しんで吸収できる性分。幅広い業務から刺激をもらい、日々の業務と自己研さんに励む。

 「メインの業務として取り組むプログラムの構築では、苦労しながらではあるが1人で完結できるようになってきました。やはり1人で成し遂げると嬉しいです」と自信を深める。

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