名古屋市にショールーム、目玉は狭い空間で共同作業する3台のロボ/ネクスティエレクトロニクス
未経験者が実質1日で「ぶつからない」経路を生成
ネクスティエレクトロニクスが今年5月に開設したショールームは、名古屋有数のオフィス街として知られる地下鉄東山線の伏見駅から徒歩圏内にある。伏見駅は名古屋駅の一つ隣で、利便性が非常に高い。
ショールームの見どころは、異なるメーカー3社の垂直多関節ロボットが所せましと並んだセル生産システムの展示だ。ファナックと三菱電機のロボットがパソコンのサーバーの筐(きょう)体のねじ締め作業を、デンソーウェーブ(愛知県阿久比町、相良隆義社長)のロボットが外観検査をそれぞれ担う。
3台のロボットは密集して配置され、普通に動かせばアーム同士が干渉しやすい。だが、ロボット同士は決して干渉することなく、スピーディーにねじ締めや外観検査の共同作業をこなすから驚きだ。
しかも、システム開発を手掛けた新事業推進部FA技術企画グループの細田昌宏課長は「これまでロボットに触ったことがなかった素人の私が実質1日で、複数台のロボットの『ぶつからない』経路を生成できた」と自信を見せる。
コンセプトは変種変量生産
このセル生産システムの最大の肝は、ネクスティエレクトロニクスが2020年から取り扱いを始めた米国のリアルタイムロボティクスの自動経路生成の技術にある。現状では9社のロボットメーカーの製品に対応した技術で、各ロボットの始点と終点の座標を指定するだけで、干渉しないで済む最短の動作経路を自動生成できるのが最大の特徴だ。
従来はティーチング(動作を覚えさせること)を通じてロボット同士がぶつからない軌跡を生成する必要があり、非常に高い技術力や経験値が要求される。これに対し、リアルタイムロボティクスの技術を活用すれば、専用のシミュレーションソフトウエア上で動作経路を自動生成するだけでプログラミングが完了するため、複雑なティーチングに頼ることなく誰でも簡単に複数台のロボットを操作できる。
セル生産システムのコンセプトは「変種変量生産への対応」。生産数量の変動に応じて簡単にロボットを移設したりレイアウトを変更したりできるよう、3台のロボットは移動式台車の上に搭載した。
細田課長は「変種変量生産の場合、生産品目が変わるたびにティーチングをしなければならない。また、生産数量が急増してロボットを1台追加する際も干渉に注意しながらティーチングをする必要があり、自動化が非常に難しかった。リアルタイムロボティクスの技術ならティーチングにかける時間を大幅に短縮でき、こうした課題を解決できる」と強調する。