[特集 2023国際ロボット展vol.3]技術は「使いやすさ」のために/ファナック 稲葉清典 専務
どんな来場者にも役に立つ
ファナックは今回展で最大のブースを構える。「企業の自動化に対する“感度”が急速に高まっている」と稲葉専務は言う。そこで見せるのが「アプリケーションモール」だ。ピッキング、パレタイジング、組み立て、研磨、工作機械との連携、ロボット加工、電気自動車(EV)関連など、ショッピングモールのようにさまざまなロボットシステムを展示する。
「どのようなお客さまが来ても自社での使い方を連想できるようにしたい」と稲葉専務は意気込む。ロボットへの関心が高まる中で、これまでロボットを使ったことがなくアプリケーション(使い方)に詳しくない来場者も少なくないと想定される。そこで、具体的な使い方をイメージできるよう幅広いアプリケーションを提示する。
ファナックのブース内だけでなく、パートナー企業が構えるブースなどでファナック製ロボットを使ったシステムが展示される予定で、「ロボットを使って実際に自動化システムを構築するのはパートナー。パートナーの方々とともにロボット導入を推進していく姿勢を改めて見せたい」と稲葉専務は語る。
「使いやすさのファナック」へ
ファナックは、本社敷地内の信頼性評価棟で商品を厳しくチェックするなど、商品の信頼性に徹底的にこだわってきた企業だ。それは大前提として「信頼性だけでなく、使いやすさにも徹底的にこだわっていることを知ってほしい」と稲葉専務は言う。使いやすさの提案の中心になるのが協働ロボット「CRXシリーズ」だ。
同商品は直感的に操作できるユーザーインターフェースを備え、軽量のためクレーンなしで持ち上げられるなど設置も簡単だ。8年間はモーターや減速機の定期メンテナンスやグリス交換が不要な、メンテナンスフリーの商品でもある。これらの特徴を感じられる展示を予定する。
加えて、ビジョンセンサーなどのセンシング技術を活用した教示作業の簡易化や、位置決めジグ(補助具)などの周辺機器の削減を提案する。また、これまではAIという表現はあまり使ってこなかったが、一般的にAIと呼ばれる技術の開発には以前から力を入れてきた。今回展では、AIパレタイジング・デパレタイジングシステムやAIバラ積みピッキングシステムなど、AIを前面に出した展示も企画している。
「AIなど高度な技術は駆使するが、その目的は細かい調整やノウハウなしにロボットを簡単に使えるようにすること。一人でも多くの方に実際に触れてもらい、ロボットは難しいものではなく『肩肘張らずに簡単に使えるもの』と思ってもらいたい」(稲葉専務)。