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2024.07.26

連載

[SI基礎講座vol.11] 品質管理①

ロボットのシステムインテグレーション(SI)に関する基礎知識を紹介する本連載企画。今回からは「品質管理」を取り上げる。今回はまず、品質とは何か、どのように管理すべきか、品質管理と品質保証の違いなどを紹介する。

〔今回の講師:中小機構 経営支援アドバイザー 加藤栄作先生〕


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【今回のポイント!】
〇品質を決めるのは顧客
〇工程ごとに品質を作り込む
〇「品質管理」と「品質保証」は全く別物

品質とは何か?

どちらの方が品質が高いのだろうか?(SI基礎講座、スライド資料より)

 生産技術概論に続いて、「品質管理」「皆さまに保有してほしい能力」「ロボット導入ステップ」についてお話ししていきたいと思います。

 まずは品質管理です。例えば、ロードレーサーと一般の自転車では、どちらの方が品質が高いでしょうか。
 「品質が高い」といえるのは、顧客がより満足する方の自転車です。それはつまり「顧客の立場によって変わる」ということです。
 主婦が近所の買い物に使うのであれば、ロードレーサーよりも一般自転車の方が満足度は高いでしょう。丈夫で長持ちし、物がたくさん積める自転車が求められます。一方、自転車が趣味の人なら、速度が出て長距離走行に適したロードレーサーを選ぶでしょう。

品質管理とは(SI基礎講座、スライド資料より)

 つまり品質を決めるのは、作る側の企業ではなく、買う側・使う側だということです。それが品質の基本です。
 右の資料には「使用適合性事例」と書いてありますが、ファストフード店と高級料亭では顧客が求めるものは違いますよね。
 高級料亭なら良い素材を使って高級感のあるものを提供してほしい。建物や雰囲気、サービスなども求めますよね。一方ファストフード店なら、手早く安く食べられることを求めるでしょう。
 同じ飲食店であっても、求める内容が違います。提供する側の企業は、どういったターゲットに合わせて、どんなものを提供するのかを考えなくてはいけません。

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