欧米や日本だけじゃない。台湾にもロボットメーカーが!【その2】
システム受注に対応/フィーラー
友嘉実業集団(FFG)の中核企業、「FEELER(フィーラー)」ブランドの友嘉実業は、工作機械と産業用ロボット、IoTを組み合わせたシステムを展示会などで盛んにアピールする。ローディングだけでなく、測定やツールストッカーにセットした工具の交換なども1台のロボットでこなす。
同社は年を追うごとに工作機械単体ではなく、ロボットなどの自動化機器を組み込んだ生産システムの受注が増えると分析。これに対応するため、2015年に建設した台中市の本社工場には、システムを組むためのスペースを広く設けた。
「FFGはドイツ工作機械工業会の会員でもあり、インダストリー(I)4.0の立ち上げから参加するパイオニア。グループ全体で力を入れる」と洪崇育業務経理は言う。
自社工場へのIoT導入も抜かりはなく、台中市の工場と中国蘇州の工場を一元管理できるシステムを導入した。
専用機もロボットセルに/フェムコ
自動車のホイール旋盤を得意とする「FEMCO(フェムコ)」ブランドの遠東機械も工作機械とロボット、IoTを組み合わせたシステムを提案する。
10年に開発に着手し、16年完成させたのが「オートマチック・バーチャル・メトロロジー(A.V.M)」。これは1台のロボットを中心に、ホイール旋盤4台と測定ユニット2台、レーザー刻印機からなるシステムだ。
ホイールの旋削加工、測定、マーキングまでを自動で行う。測定データはIoTシステムにより自動でデータベース化される。
導入したユーザー工場での評価も高く「先進国での需要は狙い通りだが、東南アジアやインドなどでも先進的な生産システムへ助成制度があるため引き合いが多い」(張庭豪業務代表)。
制御装置メーカーも参入/リンテック
システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)としてロボットセルを提供する動きもある。
中国市場に工作機械用の数値制御(NC)装置を販売する「Syntec(シンテック)」ブランドの新代科技は、ロボットのコントローラーも製造する。昨年7月に設立したのが、シンテック製のコントローラーを搭載したロボットでシステムインテグレーションを行う子会社リンテックだ。
リンテックは工作機械に測定システムやレーザー刻印機を組み合わせたロボットシステムを提案する。ロボットコントローラーはシンテック製だけだが、NC装置は他社のものでも構わない。クラウドシステムも提供しており、測定データを自動的に蓄積できる。
「中国の新興ロボットメーカーでは、ハードウエアは自社で作り、外部から購入したコントローラーと組み合わせて製品化するケースが多い。これまでは機械やロボットのメーカーに製品を供給するだけだったが、リンテックでエンドユーザーに直接ソリューションを提供できる」と謝鎮陽プロダクトマネジャーは語る。
――その3へ続く
(ロボットダイジェスト編集部)
※この記事は「月刊生産財マーケティング」2018年10月号に掲載した内容を再編集したものです。
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