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2019.04.11

グリッパーのブランド確立を目指す【後編】/北川鉄工所

ロボットハンド(グリッパー)の「promano(プロマノ)」ブランドの確立を目指す北川鉄工所。今年度中には、ワーク(加工や搬送の対象物)をつかむノウハウをベースに、これまでにない付加価値を持たせた新製品を発売する。「つかんで加工」するものと、「つかんで測定」するものの2製品だ。成長著しいロボット産業で、培った技術を生かして事業拡大を図る。

新製品は「つかんで〇〇」

ロボット加工ユニットには、加工時にロボットやワークにかかる力を低減する機能もある

 プロマノブランドで今年度の発売を予定する2つの新製品は、「つかんで○○」がキーワード。一つ目は「つかんで加工」する「ロボット加工ユニット」。国内外のどのメーカーのロボットにも装着でき、板状のワークをつかんで穴開けをする。つかんだ状態で加工するため、搬送中に加工することもでき、加工時にロボットアームにかかる負荷も低減できる。

 最大加工径は10mmで、最大20mmの厚みのワークを加工できる。炭素繊維強化プラスチック(CFRP)やプラスチック、アルミが主な加工の対象だ。エアーで切りくずを回収しつつ、本体を空冷する。

 今年1月に開催された第3回ロボデックスに参考出品し、加工実演を披露した。技術部技術1課の大塚誠課長は「キッチンに使うステンレスの薄板の加工など、予想しなかった用途でも引き合いがあった」と話す。今年度内の発売を目指している。

汎用性の高い新製品も

従来よりも薄く軽いが重いワークを把持し測定できるNPGTシリーズ

 二つ目は、「つかんで測定」する薄型2爪平行グリッパー「NPGT」シリーズ。グリッパーにスケール(位置検出センサー)を内蔵し、つかむと同時につかんだものの長さや幅を測定する。つまり、搬送と測定の2工程を同時にこなせる。磁気式など、センサーは3種類の方式から選べる。「言ってみれば簡易的な全数検査で、トレーサビリティーにも寄与できる」と大塚課長は自信を見せる。

 精密なスケールを内蔵しており、測定誤差は数μm以内と高い精度を誇る。プログラムに基づいて正確に動作を繰り返すロボットだからこそ、ワークをつかむ位置もぶれにくい。グリッパーそのものは薄く軽いが、同等ストロークの汎用品に比べて2倍の把握力を持たせた。今年夏ごろの発売を予定する。

 スケールを組み込むにあたり、水や加工液がかかると電気的なシステムが使えないので、メカ的な工夫に苦心したという。
 「展示会では『測定結果に基づいて搬送先を切り替えれば、パレタイジング(パレットと呼ばれる荷台に荷物を積み上げる作業)にも使そうだ』という意見もいただいた」と大塚課長は話す。

長期戦略で確実な事業化狙う

NTSシリーズをベースにした製品もある(北川鉄工所提供)

 「搬送+α」の機能を備えた製品は、この2つ以外にも開発が進められている。藤本社長は「ロボット産業はまだまだ成長途中で、非常に高いポテンシャルを持っている。今後さらに技術的な革新が起こる可能性もあるが、“つかむ”という動作に関しては貢献できると思う」と語る。

 また、今後は中小企業のロボット需要が増大し、変種変量生産への対応などニーズも変化すると見込まれる。これに対し、「ワークをつかむことはロボットの基本動作であり、ノウハウを生かしてさまざまなニーズに応えたい。今すぐには売り上げに結びつかなくとも、5年や10年という長期的な視野で育てていく」と藤本社長は語る。

――終わり

(ロボットダイジェスト編集部 松川裕希)



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