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2022.03.07

自動制御+遠隔操作のハイブリッドで冷蔵環境での作業を代替/Telexistence、ニチレイロジグループ本社

遠隔操作技術に強みを持つロボットベンチャー企業のTelexistence (テレイグジスタンス、東京都中央区、富岡仁最高経営責任者<CEO>)は3月4日、ニチレイロジグループ本社(東京都中央区、梅澤一彦社長)と共同で、新開発の物流向けロボットシステムの実証実験を実施した。箱を上からではなく横から吸着することで、保冷カバー付きのカゴ台車でも高い積載効率を実現する。

保冷カバー付きカゴ台車に対応

 テレイグジスタンスが開発したのは、パレット(荷役台)上に置かれた箱を、カゴ台車に積み付けるロボットシステムだ。無人搬送車(AGV)に25kg可搬の協働ロボットを搭載した。
 特徴は、人工知能(AI)による自動制御と、人による遠隔操作のハイブリッドで制御すること。基本動作は自動で行い、箱の位置の細かな調整などは人が遠隔操作で行う。

 もう一つの特徴が、保冷カバーの付いたカゴ台車でも高い積載効率を実現できること。冷凍や冷蔵帯で使われるカゴ台車には保冷カバーが付いており、台車の上方がふさがっている。そのため、箱を上から吸着して積み込もうと思っても、真空ハンドが邪魔になり、上端までは箱を積み上げられない。
 そこで、真空発生器付きの真空タンクを搭載し、箱を側面から吸着して持ち上げられるようにした。10kg以上の物でも持ち上げられるという。横から吸着し、箱を差し込むようにして積むことで、保冷カバーの付いたカゴ台車でも上まで隙間なく積載できる。

  • 上方が開いていない保冷カバー付きのカゴ台車

  • 側面を吸着して箱を隙間に挿入

実証実験の様子(テレイグジスタンス提供)

 実証実験は、ニチレイロジグループの子会社が運営する川崎市川崎区の物流センターで実施。実験場所の温度は2度程度で、その環境でカゴ台車に箱を積む作業ができるかを確認した。

 「冷蔵温度帯での作業は体への負荷が大きい。遠隔操作ができるこのロボットシステムがあれば、場所を問わず、温かい環境で作業ができる。いずれは冷凍倉庫の自動化も視野に入れたい」とニチレイロジグループ業務統括部の勝亦充業務革新担当部長は言う。

 「2022年秋ごろには物流大手のセンコーとも実証実験を予定している。今後さまざまな点をブラッシュアップし、24年の販売を目指す」とテレイグジスタンスの富岡仁CEOは話す。

(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)

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