新開発のロボットハンド、ロボットシステムの提案が相次ぐ
モーターメーカーがロボットハンドに参入
7月24日~26日には、細かく分けると20近い専門展が東京ビッグサイトで同時開催された。
自動化・省人化ロボット展はその中でも比較的小規模で、西4ホールの一部区画で開かれた。規模は小さいものの、出展した14社はいずれも熱のこもった展示をし、新開発の製品やシステムを展示する企業も目立った。
今回展で注目を集めた1社が、小型モーターメーカーのシナノケンシ(長野県上田市、金子元昭社長)だ。同社のモーターは工場内の自動搬送システムなどに広く使われているが、それらと合わせ、新規事業として取り組むロボットハンドを参考出品した。「モーターメーカーの強みを生かし、ハンドとそれを駆動するモーター、制御するコントローラーを一体化した、コンパクトな製品」と営業担当者は言う。
つかむ強さを調節する機能と、工夫を凝らした爪(人の手の指に当たる部分)により、一つのハンドで多種多様なものをつかむデモを披露した。綿棒のような細い物や、チェーンのような柔軟物もつかめ、多くの来場者が足を止めてデモに見入った。
デンマークの協働ロボットメーカー、ユニバーサルロボット公認の周辺機器「UR+(プラス)」に追加予定の製品で、ハードもソフトも同社のロボットに対応し、ロボットの操作盤から操作ができる。
ギザギザパッドや、静電気で対象物を吸い着ける
静電チャックメーカーのクリエイティブテクノロジー(川崎市高津区、辰己良昭社長)は、「布に自由を。」をキャッチフレーズに、静電チャックの魅力を紹介した。静電チャックは静電気の原理で薄い対象物を吸い着けて固定する器具で、ロボットアームの先に付ければ薄物の搬送に使える。
従来は半導体業界向け多かったが、今回展ではその他の業界でも積極的に使ってほしいと布の搬送を披露した。「縫製工場などで布の扱いを自動化する場合、針で持ち上げると布が傷付いてしまうが、静電チャックならその心配がない。無数の穴が開いた物など真空グリッパーでは吸着しにくい素材もあるため、そういった素材の搬送に静電チャックを提案したい」と第三営業部兼営業企画推進部の山内幹夫部長は話す。