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2020.03.04

連載

[随想:ロボット現役40年、いまだ修行中vol.12(最終回)]技術革新を起こし、国際競争力を強化せよ【前編】/小平紀生

過去には日本ロボット学会の第16代会長(2013~14年)を務め、現在も日本ロボット工業会のシステムエンジニアリング部会長など、ロボット業界の要職を数多く務める三菱電機の小平紀生氏。黎明(れいめい)期から40年以上もロボット産業と共に歩んできた同氏に、自身の半生を振り返るとともに、ロボット産業について思うところをつづってもらった。全12回の連載企画「随想:ロボット現役40年、いまだ修行中」の最終回。「今後、中国製のロボットが日本のロボット産業にとっての大きな脅威となる」と小平氏は警鐘を鳴らす。

きっかけは2010年

 中国向けの産業用ロボットの商談が一気に増えたのが2000年代半ばのこと。
 当初は能天気に「一度にたくさん買ってくれる良い顧客」ぐらいに思っていました。大量発注に対応できるかを確認する意味で生産台数を聞かれた際、こちらは年間のつもりで答えたら「月間でそれくらいあれば対応できそうですね」と勘違いされることもあり、中国向けの商談は国内では見られない大規模な案件がよくありました。

2010年のロボット技術調査で撮影

 日本のロボット産業にとっての脅威として中国を意識するようになったのは、10年に中国現地のロボット技術調査に出向いたことがきっかけです。
 今回の連載では紹介しきれなかったのですが、私は安全保障貿易情報センター(CISTEC、現理事長・坂本吉弘氏)のロボット分科会主査として、日本のロボットの輸出管理にも長年関わってきました。
 リーマン・ショック直後から、中国向けの日本製ロボットの輸出が目に見えて増え始めましたので、早速CISTECで現地のロボット技術調査を企画して自分で出向いたわけです。

実用レベルのシステム展示はほとんどなかった「2010中国国際工業博覧会」

 10年には中国ではまだロボットの大きな専門展がなかったため、工作機械など製造業関連のさまざまな技術や製品が展示される「2010中国国際工業博覧会」を視察しました。

 その頃は中国製の産業用ロボットの技術はまだまだで、展示もわずかに数社。製造ラインに投入したことのない試作品と一目で判るものもあり、実用レベルのシステムとしての展示もほとんどありませんでした。日本や欧米のロボットメーカーも出展しており、来場者の目はそちらを向いていました。

 気になったのはむしろ、中国科学院のブースで見た「国家中長期科学技術発展規画綱要」の解説。06年から20年までの科学技術振興策で、製造業についても重点テーマが設定されており、「机器人(ロボット)」にも触れられている。
 もちろん中国語なので詳細は帰国してから日本語の解説を読んで把握しましたが、なかなか充実した内容でした。それ以後は中国の産業統計や、政府が発表する製造業関係の指針・計画などを必ずチェックするようになりました。

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