協働ロボ用に吸着ハンドも使いやすさを追求/シュマルツ
協働ロボット市場は間違いなく伸長する
シュマルツは簡単に扱えるロボットハンドの拡充を進めている。その背景にあるのは、協働ロボット市場の拡大だ。同社は、協働ロボットを導入する顧客にはロボットの初心者が多く、設定などに不慣れだと想定している。そこで、初心者でも簡単に扱える製品の開発を進める。
日本法人(横浜市都筑区)のアーネ・ゲッテゲンス社長は「ロボットに作業をさせるには、ロボットハンドが必須。協働ロボットは初心者でも使いやすいのにハンドが扱いにくければ、導入の障壁は高いまま。そこでわが社は協働ロボット向けに、特定の用途を想定した、初期設定の簡単な製品を拡充する」と狙いを明かす。
製品群のコンセプトは「簡単につなげる。すぐに使える」。シュマルツが各社の協働ロボットごとに個別で型番を用意することで、エンドユーザーは対応する型番の製品を選ぶだけでよい。
そういった考えの下、同製品群を「協働ロボット+1(プラスワン)」として訴求する。これまでに協働ロボットから電源を得て稼働する電動式のミニ真空発生器「コボットポンプECBPi/ECBPM」や、物流向けに荷役台(パレット)から荷箱を積み下ろしするパレタイジングやデパレタイジング作業に特化した「真空グリッパーFXCB」を発売した。
専用サイトで簡単に特注ハンドを
まず、顧客が搬送したい対象物の設計データか、サイズと形状を専用サイトに登録する。すると、ウェブ上の設計システムがハンドの形状を自動設計する。
そのシステムには同社がこれまで培った設計ノウハウが凝縮されており、重心位置や重量に応じて吸着パッドを最適に配置。そのパッドをつなぐようにハンドの骨格を設計する。
シュマルツは、設計されたハンドをドイツ本社で3Dプリンターにより造形する。素材は特殊な強化プラスチック。造形後に搬送物の吸着テストを実施し、最適な吸着パッドの選定や把持位置の検証をする。
また要望があれば日本に到着後、日本法人の拠点にあるロボットを使い、その吸着ハンドの搬送テストもできる。発注から2~3週間程度で、日本の顧客の手元に届く。
搬送物に合わせた吸着ハンドの設計は、慣れてる人でも難しい。「把持物の重量や重心位置に対して、ハンドの骨格部分、吸着するパッドの位置や材質、大きさを検討しなければならない。それが決まっても、パッドまでの真空配管や真空発生器の配置など考慮すべき箇所は、非常に多い」(ゲッテゲンス社長)。
そこで、同社の設計ノウハウを提供する場として、専用サイトを設けた。サービスの開始以来、顧客からは好評を得ている。