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2021.01.25

[活躍するロボジョvol.4]ロボットには夢がある/デンソーウェーブ 伊庭歩美さん

ロボット業界で活躍する女性にスポットを当てた連載「活躍するロボジョ」。4回目はデンソーウェーブ(愛知県阿久比町、中川弘靖社長)の伊庭歩美さんを紹介する。子どものころから憧れを持つロボットを「夢のある機械」と表現する。顧客の要望通りにロボットを動かすための検証業務や、展示会用のデモ機を製作する。一昨年開催された「2019国際ロボット展(iREX2019)」では、ワイヤハーネスの組み付け作業を自動化するデモ機を一から作り上げた。

特技の設計を生かす

 入社3年目の伊庭さんは、顧客の要望通りにロボットを動かすにはどうすべきかを検証し、提案する。
 例えば、ロボットの購入を検討する顧客から「サイクルタイムを○○秒以内に収めたい」との要望を受ける。それに対し、パソコン上でロボットの動作プログラムを作成し、実機で検証を進める。

 時には厳しい要求もある。「ロボットの制御パラメーターを調節したり、ロボットハンドの爪を軽くするなど、社内に蓄積されたノウハウを生かして提案します」と話す。

「得意な設計を検証業務に生かしています」と語る

 所属する部署では、「仕事に関係する『特技』を一人一つは身に付けるように」との方針が掲げられている。
 伊庭さんの特技は「設計」だ。学生時代に学んだ製図のスキルを生かし、3次元のCAD(コンピューター支援設計)ソフトウエアを使ってロボットハンドの爪や「ジグ」と呼ばれる補助器具を設計することもある。

組み付け作業のデモ機を一から作る

iREX2019で披露したワイヤーハーネスを基板に組み込むデモ機

 展示会シーズンは慌ただしい。デモ機を製作するからだ。

 一昨年12月に東京で開かれたiREX2019では、ワイヤハーネスを基板に組み込む作業を自動化するデモ機を製作した。
 2台の協働ロボット「COBOTTA(コボッタ)」とクラボウのビジョンセンサー「KURASENSE(クラセンス)」を組み合わせたデモ機だ。上司に大まかな構想を説明され、システムの組み立てやプログラムの作成などは全て任された。

 「柔らかくてつかみにくそう」とのイメージが強いワイヤハーネスを2台のコボッタが器用につかむ様子を、会場で目にした読者も多いのではないだろうか? 
 
 デモ機は、コボッタ用のコントローラーの基板にワイヤハーネスを組み込む作業をイメージしたもの。1台目のコボッタがワイヤハーネスをクラセンスに近づけ、コネクターの先端部の位置を認識させる。その情報を基に、もう1台のコボッタが先端部をつかみ、コントローラーに設けられた穴に通す。その後、1台目のコボッタがワイヤハーネスを再び受け取り、基板に組み付けるというものだ。

刈谷事業所に勤務する伊庭さん

 つかむ対象は柔らかくたわみやすいため、ロボットで搬送するのが難しい。それゆえに、デモ機の製作は初めから上手くはいかなかった。

 「1台目のコボッタがワイヤハーネスをつかむたびに先端の位置がどんどんずれるので、もう1台のコボッタで先端部を上手くつかめませんでした。何とかつかめても、今度は穴に通せないという問題も発生しました」と苦笑いする。

 ロボットの動作プログラムを次々に追加するなど、問題を一つ一つ解消。1カ月ほどでデモ機の完成にこぎ着けた。「かなりタイトなスケジュールでした」と振り返る。

 展示会場ではデモ機の説明員としてブースに立ち、来場者の反応を直に聞いた。「手作業で組み付け作業をしていた方から『自動化は難しいと思っていたけど、これならできそう』と反応をもらった」と嬉しそうに話す。

子どもの頃からの憧れ

「ロボットは夢のある機械」と語る伊庭さん

 子どもの頃から機械に興味があった。映画やテレビで活躍するロボットを見て、強い憧れを抱いた。

 学生時代はロボットメーカーを中心に就職活動をした。縁あって同社に入社し、初めてロボットに触れた。「ロボットと人工知能と組み合わせたり、ビジョンセンサーを『目』の代わりに使ったりと、思いもよらない使い方をしていました。なんて夢のある機械なのだと驚きました」と振り返る。
 入社当初に抱いた思いは、今も変わらない。

 「今後は、ハンドの爪やジグ設計のスキルに磨きをかけたいです。周辺設備も含め、全体のシステムを設計できるような力を付けたいですね」と意気込む。

(ロボットダイジェスト編集部 鷲見咲美)

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