工場から人を消す! 画像検査からロボットへ【後編】/リンクス 村上慶社長
ばら積みピッキング用のパッケージを発売
――前編で、「ロボットソリューション事業」を始めたとの話がありました。
専門部署を創設し、ロボット向けのパッケージ製品などを販売しています。従来からロボットシステムに使える製品も一部ありましたが、ロボットソリューション事業向けに新たなブランドを扱い始めました。
――新たなブランドとは?
スロバキアのベンチャー企業Photoneo(フォトネオ)です。同社のピッキングシステム「Bin Picking Studio(ビン・ピッキング・スタジオ)」を2018年11月から販売しています。コンテナ内に雑然と積まれた部品の位置や姿勢を認識し、最適な角度からつかみ上げるばら積みピッキング向けのパッケージシステムです。
――パッケージの構成は?
3次元(D)センサーとビジョンコントローラー、専用ソフトをセットにしています。前編では「3Dセンサーでシステムを構築するにはノウハウが必要」と言いましたが、ビン・ピッキング・スタジオは最適な組み合わせをパッケージにしているため、特別なノウハウは要りません。産業用ロボット、ロボットコントローラーと組み合わせれば、ばら積みピッキングシステムを構築できます。部品の設計データを取り込んでつかむ部位を指定するなど、簡単な設定だけで使えます。
――フォトネオはどんな企業ですか?
13年に創業した3Dセンサーのメーカーで、自社製品の強みを生かす方法として考案したのがビン・ピッキング・スタジオです。同社のセンサーは高精度に広い範囲を計測でき、ばら積みピッキング用のセンサーとして最適です。3Dセンサー単体でも販売していますが、ビジョンシステム専門のインテグレーターからもとても高く評価されています。
物流向けバージョンも
――扱い始めた経緯は?
欧州と北米にリサーチセンターを置き、常に新たな商材を探しています。ロボットピッキング市場が成長すると判断したリサーチセンターが同市場でのプレーヤーを世界中から徹底してリストアップし、その中にフォトネオがありました。各社検討し、優秀と思われるメーカーの製品をテストしました。その結果、性能が抜群に優れていたのがフォトネオでした。また、同社の創設者でもあるヤン・ジスカ最高経営責任者と話したところ、技術に対するビジョンが明確でカリスマ性を感じました。「世界の天才たちの夢をビジネスに」、これもわが社のモットーの一つですので、フォトネオを扱うと決めました。
――国内の顧客の反応は?
大手企業にも既に採用実績があり、引き合いは増えています。また、通常仕様のビン・ピッキング・スタジオは金属部品などを想定していますが、物流分野向けの「AnyPick(エニーピック)」というバージョンもあります。箱を積み下ろすケースピッキング、コンテナ内の品物を一つずつ取るピースピッキングのどちらにも対応します。