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2021.10.07

イベント

専門展で見た取り出しロボットの最新提案/名古屋プラスチック工業展2021

「名古屋プラスチック工業展2021」が9月29日~10月1日の3日間、名古屋市港区のポートメッセなごやで開催された。会期3日間で約1万人が来場した。会場ではプラスチック部品を成形する射出成形機や、成形したプラスチック部品を取り出す専用ロボットなどの展示が目立った。

154社・団体が出展

3日間で約1万人が来場

 名古屋プラスチック工業展2021のテーマは「プラスチックが創る未来の形 ~つながる技術、循環する素材・製品~」。154社・団体が出展したが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、製品展示を見送った企業も一部で見られた。会期2日目までは緊急事態宣言下にあったが、3日間で約1万人が来場した。
 またオンライン展も9月29日~10月15日まで開かれ、19社がオンライン上で最新製品の情報などを発信している。

プラスチックを成形加工する射出成形機

 同展はプラスチック関連の総合展示会で、射出成形機や取り出しロボット、周辺機器、金型などが展示される。

 射出成形機とは、プラスチックを成形加工する産業機械。プラスチックの成形品は一般的に①ペレットと呼ばれる米粒状のプラスチックを熱で溶かし②溶かしたプラスチックに圧力を加え金型に流し込み③冷やして固めて④固めたプラスチックを取り出しロボットと呼ばれる専用機器で取り出す――工程を経て作られる。
 そのため、取り出しロボットは射出成形の自動化に欠かせない機器として広く認識されている。

産業用ロボットの展示も

スター精機の「IXW-800SⅥP」

 今回展では取り出しロボットメーカーが大きな小間を構え、最新の製品や技術を披露した。

 取り出しロボットやファクトリーオートメーション(FA、工場の自動化)関連装置を製造、販売するスター精機(愛知県大口町、塩谷国明社長)は、今年2月に発売した新製品「IXW-800SⅥP」を展示した。最大可搬重量を従来機の5kgから8kgに高めた。ハンドの取り付け面も反転、旋回、回転の3軸を制御でき、より複雑な動きが可能となった。「インサート成形(金属部品と樹脂を一体で成形する手法)した複雑な部品を取り出す時や、成形後に2次加工をする時に役立つ」と担当者は語る。
 また、同社は取り出しロボットや産業用ロボットのハンドも内製しており、小間ではハンドに使用する軽量なカーボン製の部品や、コストパフォーマンスが高いハンドチェンジャーなども紹介した。

ユーシン精機の「RC-SEシリーズ」

 ユーシン精機は、今年7月に発売した「RC-SEシリーズ」を披露した。プラスチック部品を吸着した時のエアの消費量を削減できる新開発のツール「Smart ECO(スマートエコ)吸着」を搭載しており、エアを生み出すエアコンプレッサーの電気代を節約できるのが特徴。ランニングコストが低減できるだけではなく、最近話題になっている「カーボンニュートラル(炭素中立)」の達成にも一役買うという。

ハーモはトータルリンクの新機能を提案

 ハーモ(長野県南箕輪村、浜秀明社長)は取り出しロボットや周辺機器の設定や、稼働状況の管理などが一元でできる「トータルリンク」の新機能を提案した。
 成形する部品が変われば金型を変更するのは当然だが、取り出しロボットのハンドも交換する必要があり、さらに使用する金型に対応した成形プログラムにも切り替えなければならない。これらの事前準備作業を「段取り」と呼ぶが、人手による作業なのでハンドの交換や成形プログラムの切り替えを忘れてしまうこともある。
 トータルリンクには従来、ハンドを交換し忘れた状態で次の作業に進めるとアラームを鳴らして作業者に注意喚起する機能があった。同社はこれに加え、ハンド交換時に自動で成形プログラムを切り替える機能も今回新たに追加した。ヒューマンエラーの防止や段取りの効率化を実現する。

ナベルホールディングスはテックマンロボットの協働ロボットを搭載した「N-RobotCart」を展示

 会場では取り出しロボットだけではなく、産業用ロボットの展示も見られた。

 ナベルホールディングス(三重県伊賀市、永井規夫社長)は、FA装置の設計製作を手掛ける野村ユニソン(長野県茅野市、野村高城社長)と共同開発したロボットシステム「N-RobotCart(ロボットカート)」を展示した。ロボットには、自社が輸入代理店を務める台湾のテックマンロボット製の協働ロボットを搭載した。
 狭い環境でも簡単に設置できるのが特徴だ。小間では実機だけではなく、射出成形機と組み合わせた時のイメージも動画で紹介した。

(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)


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