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2022.03.24

認知広げて市場作る! 沖縄にロボット施設/カサイエレック

システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)のカサイエレック(愛知県大口町、葛西泉社長)は1月23日、沖縄県糸満市の沖縄事業所内に「OKINAWA Digi-Robo-Labo!(沖縄デジ・ロボ・ラボ)」を開所した。産業用ロボットの特別教育が受講できるだけではなく、協働ロボットなどの性能を実際に体感できる。同社は沖縄県に市場を作るため、今後は沖縄デジ・ロボ・ラボを通じてロボットやデジタル技術の認知を広げる考えだ。

沖縄唯一のSIer !?

沖縄デジ・ロボ・ラボに設置したデンソーウェーブの協働ロボット「COBOTTA」

 カサイエレックは自動車用スイッチメーカーのカサイ製作所(愛知県北名古屋市、葛西泉社長)のグループ会社で、電力会社向けの監視システムの設計、製造、販売などを手掛ける。ロボットシステムの構築を担うSIerでもあり、FA・ロボットシステムインテグレータ協会に加盟するSIer会員の中で唯一、沖縄県に拠点を持つ(2022年3月1日時点)。

 同社が沖縄県に進出したのは17年。沖縄本島の最南端に位置する糸満市に沖縄事業所を設けた。その沖縄事業所をこのほど全面改装し、ロボット関連の専門施設である沖縄デジ・ロボ・ラボを22年1月23日に開所した。経済産業省の事業再構築補助金も活用しながら、トータルで約2800万円を投じたという。

 沖縄デジ・ロボ・ラボには4台のロボットに加え、デンソーウェーブ(愛知県阿久比町、相良隆義社長)のハンディーターミナルや電子タグ(RFID)読み取り機、「顔認証SQRC」などの「AUTO(オート)-ID製品」も一通りそろえた。この他、サトー(東京都港区、小沼宏行社長)のRFIDプリンターに加え、高精度3Dプリンターや3Dスキャナーも設置した。
 4台のロボットの内訳は、デンソーウェーブの6軸垂直多関節ロボットが1台と小型協働ロボット「COBOTTA(コボッタ)」が2台、カワダロボティクス(東京都台東区、川田忠裕社長)の人型協働ロボット「NEXTAGE(ネクステージ)」が1台だ。

「今の技術」を体感

  • 特別教育用の6軸垂直多関節ロボット

  • 高精度の3Dプリンターも設備

 沖縄デジ・ロボ・ラボの特徴の一つは、ロボットの特別教育が受講できること。特別教育とは、ロボットの教示作業などをする担当者が労働安全衛生法に基づき事前に受講することが求められる、安全に関する講座のこと。カサイエレックの立花大資沖縄事業所長は「従来は県外まで出張しなければならなかったが、沖縄県を出ることなく特別教育を受けられる」と述べる。
 講習にはデンソーウェーブの6軸垂直多関節ロボットを使う。現状はオンライン会議システムを通して、デンソーウェーブの技術者がリモートで特別教育を実施する。受講後には特別教育修了証も発行される。

 また、沖縄デジ・ロボ・ラボにはロボットやデジタル技術を体験してもらう場としての役割もあり、コボッタなどの展示物を実際に操作できる。例えば、ピック&プレース(物をつかみ上げて所定の位置に置く作業)用の部品を来場者自身で設計して製造し、コボッタでその部品をピック&プレースするデモを体験すれば、来場者はその過程で3DCADソフトウエアや3Dプリンター、ロボットに一通り触れられる。
 立花所長は「ロボットの便利さだけではなく、不便さも含めて『今の技術』を体感してもらいたい」と話す。

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