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2022.03.28

[国際ロボット展 特別リポートvol.17]オプションで機能を拡張/豆蔵、KEBA Japan 、ATI インダストリアルオートメーション

ATI インダストリアルオートメーションのツール交換のデモ

産業用ロボットは、ロボットアームにオプション機器を取り付けたり、コントローラーに特殊な演算処理装置を外付けするなど、さまざまな方法で機能拡張が可能だ。オプションによる機能付加により、特殊な作業や複数工程の自動化が可能になる。vol.17では、「2022国際ロボット展(iREX2022)」の会場で見つけた、ロボットの機能を拡張する提案を取り上げる。

当たる前に逃げる/豆蔵

豆蔵のロボットは人から逃げ続ける

 安全柵の要らない協働ロボットは「人と衝突したら止まる」のが一般的だが、ITコンサルティング企業の豆蔵(東京都新宿区、中原徹也社長)は、「人と衝突しない」要素技術を参考出展した。
 今回の展示では、電気を通す物(導体)が近づくと反応するセンサーをロボットの先端に搭載。導体である人が近づくと、新開発の制御技術によりぶつかる前にロボットアームを遠ざける。センサーにはフランスのフォーガレロボティクスの「スマートスキン」を使った。

 担当者は「協働ロボットでもぶつかれば『痛い』で済まないこともある。展示ではロボットの先端に持たせたが、センサーは板状で曲げられる素材のため、ロボットの関節部分などにも直接付けられる。協働ロボットの安全性を高めたい」と話す。

AIの演算処理に最適/KEBA Japan

KEBAジャパンは新製品「CI550」を参考出展

 オーストリアの産業機械向けコントローラーメーカーの日本法人、KEBA Japan(ケバジャパン、東京都江東区、村上正和社長)は、新製品「CI550」を参考出展した。同製品は同社のコントローラーと組み合わせて使うオプションのユニットで、ロボットシステムに人工知能(AI)技術に適した演算処理機能を付与できる。

 高速な産業用通信規格「EtherCAT(イーサキャット)」にも対応しており、ハードウエアの処理能力も高いため、AIを使った画像処理などの高度なアプリケーション(活用法)にも遅延なく対応できる。同社では将来的に人の音声をAIに認識させてロボットを操作する可能性を見据えており、マイク用の入力端子も実装した。
 村上社長は「今後はロボットシステムでAIを使う場面が、圧倒的に増える。今まではコントローラーと別にAI処理用のエッジコンピューターを用意したり、データをネットワーク上位のクラウド層に上げる必要があった。CI550があれば、コントローラーに組み込むような感覚で、機器やシステムの境目が障壁にならずに実装できる」とアピールする。

ツールチェンジャーや6軸力覚センサーを提案/ATI インダストリアルオートメーション

ATIの製品群。一番手前が6軸力覚センサー

 ロボットの機能拡張と言えば、アーム先端のエンドエフェクタ―(ツール)を自動交換するツールチェンジャーや、ロボットに力覚を付与する力覚センサーなどのアクセサリー類は欠かせない。
 米国のATIインダストリアルオートメーションは会場で、ロボット用のツールチェンジャーや研磨ツール、6軸力覚センサーなどを紹介した。同社は米国の医療機器メーカーのノヴァンタの傘下にある企業で、日本国内ではこれまで、相手先ブランドによる生産(OEM)などATIブランドをあまり表に出さずに製品を販売してきたが、国内を含め世界中で豊富な実績を持つメーカーだ。昨年、ノヴァンタが同社を買収したことをきっかけに、ノヴァンタ・ジャパン(東京都品川区、村田英俊社長)が国内でATI製品を販売し始めた。

 「ATIはツールチェンジャーなどさまざまな製品に強みを持つが、6軸力覚センサーのリーディングカンパニーでもあり、今回展では6軸力覚センサーの反響が特に大きい」とノヴァンタ・ジャパン(東京都品川区、村田英俊社長)の内田和幸ATI事業部長兼営業部長は言う。

(ロボットダイジェスト編集部 曽根勇也、西塚将喜)


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