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2023.07.12

連載

[SIerを訪ねてvol.37] マーキングの自動化に強み/山田マシンツール

ロボットシステムの構築を担うシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)を紹介する連載企画「SIerを訪ねて」。今回は、刻印機メーカーと工具商社の2つの顔を持つ山田マシンツール(東京都台東区、山田雅英社長)を取材した。同社は新たに国内でSIer事業を本格化する方針だ。先んじてタイの現地法人で自動化システムの実績があり、国内でも展開していく。「ファクトリーオートメーション(FA=工場自動化)事業」の強化について山田社長は「わが社の強みであるマーキングを中心に、その付帯作業も含めた自動化を提案する」と話す。

国内でSIer事業を本格化

 山田マシンツールの事業は、大きく2つ。1つは刻印機メーカーとして、マーキング装置や機器を製造する。プレス式やスタイラスと呼ばれる針で刻印するタイプなどを手がけてきた。
 自動車や建設機械のフレーム、金属を鋳造して塊にしたインゴットなどに製造番号や重量などを刻印するために使う。

 もう1つは、商社として国内外の幅広い商品を取り扱う事業。特殊な工具も取り扱っており、例えば金属表面に細かい切り込みを入れるローレット加工用の工具や複合加工機に搭載して工程集約を実現する機器などを販売する。またレーザーで印字する装置を使ったシステムも提案する。

エアーで駆動するスタイラスタイプの刻印機(提供)

 同社はこれらに加え、国内のSIer事業の本格化に乗り出す。「FA事業」として、生産現場をロボットで自動化するシステムの設計に取り組む。先行してタイの現地法人でマテリアルハンドリング(マテハン)の自動化システムなどを提案しており、国内でもマーキングの自動化をはじめ既に数件の実績があるという。
 山田社長は「コア事業のマーキング装置を中心に、自動化システムの提案を強化したい。『刻印の自動化なら山田マシンツールに』と認識されるようになれれば」と語る。

タイの現地法人がきっかけ

アルミフープ材の刻印と巻取りを自動化する装置

 同社のFA事業では「生産コスト」「品質向上」「生産性向上」「健康と安全」の4つを重点項目とする。

 生産性の高い自動化システムで生産コストを低減し、作業者の熟練度の違いによる品質のばらつきも防ぐ。
 また製品の種類ごとに設けていたラインを1つのシステムにまとめることで、省スペース化も実現できる。ある工場では18種類の製品のマーキングを1台に集約し、設備スペースを従来の半分に削減できたという。

 山田社長は「ユーザーはマーキング自体にはそこまでコストをかけられない。1台で多品種少量生産できるなど、付加価値の高いシステムを提案できるのがわが社の強み」と自信を見せる。

 SIer事業を始めたのはタイの現地法人がきっかけだった。4年ほど前に日系企業から工場の自動化の要望があり、パレタイジングシステムやロボット溶接システムなどを設計した。
 「タイでも人手不足は大きな問題で、自動化のニーズは高い。現地のエンジニアを育成し、システムの設計やロボットのティーチングをできるようにした」(山田社長)と語る。タイのSIer事業に手応えを感じ、国内でも本格的に取り組むことを決めた。

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