配置パターンの生成機能で、積み付けを自動化しやすく/Closer
中小規模の製造ラインで使いやすく
パレタイジーは協働ロボットを組み込んだパレタイジングの自動化システムで、昨年10月に発売した。ロボットはファナックの協働ロボット「CRX-25iA」を使う。パレット(荷役台)はロボットを挟んで左右に1つずつ置けるため、片側のパレットの搬送中に、逆側のパレットに段ボール箱を積むことで作業効率を高められる。
架台や操作パネルなどのハードウエアは同社が設計し、ソフトウエアも独自に開発した。樋口社長は「ゼロからソフトを開発できるわが社の技術力を生かし、ロボットの知識がなくても操作できる、使いやすいロボットシステムを実現した」と自信を見せる。また不定形物の搬送に向くロボットハンドも開発中という。例えば米や農業用肥料の入った袋物の積み付けニーズなど、さまざまな分野からの引き合いに備える。
新たに、段ボール箱の積み付け方を自動で生成できるオートレイアウト機能を実装した。直感的な操作で段ボール箱の積み付け方を決定してロボットを動かせるため、ロボットシステムを初めて導入する企業でも使いやすい。
樋口社長は「パレタイジーはロボットの導入や操作に慣れていない、中小規模の製造ラインを持つ企業がメインターゲット。操作パネルからスマートフォン感覚で簡単に配置パターンを設定できるオートレイアウト機能で、パレタイジングの自動化を支援する」と話す。
数値を入力するだけ
最後に、段ボール箱を積む段数を入力すると、積み上げたイメージが3次元モデルで表示される。段ごとに異なる配置パターンも設定できる。全ての段を同じ配置パターンにするとバランスが不安定になるが、段ごとに配置を変えることで搬送中の荷崩れの防止に役立つ。このように入力した設定を保存してロボットに稼働指示を送ると、その通りに段ボール箱を積み付ける。
段ボール箱のサイズを変更したい場合は、数値を入力し直すだけですぐに反映される。同じパレットに複数のサイズの段ボール箱を混載するのは難しいが、パレットごとの切り替えなら簡単にできるのも特徴だ。樋口社長は「パレタイジーの架台はキャスター付きのため、必要に応じて稼働場所を変えられる。段ボール箱のサイズ変更も含め、状況の変化に柔軟に合わせられるのが強み」と説明する。
販売目標は3年で100台
同社はもともとスカラロボットでピッキングを自動化するシステム「PickPacker(ピックパッカー)」を提案していたが、ユーザーからパレタイジングの自動化の要望も多く、パレタイジーの開発に着手した。
ピックパッカーとパレタイジーで、商品の箱詰め作業と、その箱のパレタイジングも自動化できるようになり、三品産業(食品・化粧品・医薬品)を中心に提案を強化する構えだ。パレタイジーは昨年の発売から既に多くの引き合いがあり、3台の導入が決まっている企業もあるという。
樋口社長は「今後3年間で、パレタイジー100台の販売を目標にする」と意気込む。「量産を意識したハード設計もしており、量産体制の見通しも立っている。導入後のメンテナンスについても、ロボットの保守点検を得意とする企業と連携し、全国でサービスを展開できる体制作りを進める」と話す。
同社は6月4日~7日に開催される世界最大級の食品製造総合展「FOOMA JAPAN(フーマジャパン)2024」で、オートレイアウト機能を搭載したパレタイジーを初披露する予定だ。
(ロボットダイジェスト編集部 水野敦志)
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