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2024.07.24

連載

[SIerを訪ねてvol.45]スムーズな導入のために凝らす工夫/フレアオリジナル

フレアオリジナル(長野県坂城町、田中陽一郎社長)は、製造業や物流業、建設業など幅広い分野で実績を持つシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)だ。さまざまな工程のロボット化を実現する他、自社オリジナルの自動化パッケージも開発した。エンジニア一人一人がシステム構築をトータルでできるようにして、現場へのスムーズな導入を図る。田中社長は「難しい案件でも断らず、ユーザーの要望をしっかりと聞いて応えたい」と語る。

難しい案件ほどやりたくなる

 フレアオリジナルは、ばら積みピッキングや溶接、金型への剝離剤の塗布、外観検査など多様な工程の自動化実績を持つ。
 田中社長は「基本的にどんな仕事も断らない。むしろ、難しい案件ほどやりたくなる。その時は大変な思いをするかもしれないが、そこで得た経験が次の依頼で役立つ」と語る。

工場内でDOBOT製ロボットの動作チェックをする

 同社は中国のロボットメーカーDOBOT(ドゥーボット)の販売代理店でもあり、DOBOTのロボットを組み込んだシステム事例も多い。DOBOT製ロボットの特徴は「使いやすさや安全性にある」と田中社長は言う。
 「専用のソフトウェアは簡単に操作でき、ダイレクトティーチング(教示)でロボットの動作の設定もできる」と説明する。また人と接触する前に停止する「Safe Skin(セーフスキン)」機能を搭載できるため安全性が高く、「通常の協働ロボットは人と接触すると止まるが、DOBOTならそもそも人とぶつからないシステムを構築できるため、より提案しやすい」と話す。

 DOBOTに限定せず、多数のロボットメーカーの製品を扱えるのも同社の強み。「ユーザーの要望に合わせて、システムに組み込むロボットや周辺機器を選定する。DOBOT製ロボットはコスト面で有利なため、初めてロボットを導入するユーザーなどには特におすすめしたい」と語る。

多彩な自動化パッケージ

スムーズなシステム導入のための工夫について語る田中陽一郎社長

 ユーザーが協働ロボットシステムを導入しやすいように、同社は多彩な自動化パッケージを用意する。溶接の自動化パッケージ「DOBOT ARC(アーク)」は、DOBOTの協働ロボット「CRシリーズ」と架台、溶接電源などで構成し、設置スペースがコンパクトな点が特徴だ。
 ステンレスの溶接に向くティグ(TIG)溶接を自動化する場合にワイヤ状の溶接材を自動で供給する機能を開発した。溶接材の供給を人手でする場合、習熟に長い時間を要するという。ロボットのティーチング(教示)や溶接設定も簡単にでき、小ロット品から量産品まで溶接の自動化を実現する。

 CRシリーズにカメラを組み合わせた自動化パッケージ「EYE ROBOT(アイロボット)」も開発した。カメラで常に対象物(ワーク)を撮像しており、ワークの動きに追従してロボットが動く。例えばコンベヤー上を流れるワークなども確実にピッキングできる。昨年の国際ロボット展(iREX)で参考出展したところ反響は大きく、ユーザーの実際のワークを使ったテストも進めている。
 他にもねじ締めの自動化パッケージ「DOBOT Screw(スクリュー)」やボルト締めの自動化パッケージ「DOBOT Tighten(タイテン)」などをそろえ、協働ロボットシステムの導入を支援する。

スカラロボットを活用したピッキングシステムなども手掛ける

 同社のエンジニアは、一人一人がシステムの設計から製作、導入までをトータルでできる。同社の平均年齢は30歳ほどで若手のエンジニアも多いが、全員が機械加工や電機設計、配線、組み立てなどの技術も持っており、システムのスムーズな納入につながっている。
 同社のユーザーは製造業や物流業、建設業など幅広い。近年は、より高度な自動化を実現するためにビジョンセンサーを組み込んだシステムの要望が増えているという。

 4台のロボットと3Dビジョンセンサーを使い、溶接や搬送などを自動化した事例がある。システムには溶接用のロボットを1台、ワークの供給や搬送に3台のロボットとビジョンセンサーを組み込んだ。溶接後のワークは自動でパレット(荷役台)に積み付ける。その際、単にワークを積み上げるのではなく、1段ごとに段ボールを挟んでワーク同士が触れないようにした。
 「ビジョンセンサーを使う場合や、複数のロボットを組み合わせる場合はシステムが複雑になる。大変だが、ユーザーの要望をしっかりと聞いて良いシステムを提供したい」と話す。

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